プロ野球PRESSBACK NUMBER
CSの1stステージ、全4チームを分析。
鍵となる投手力にどう差が出るか?
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byHideki Sugiyama
posted2011/10/29 08:02
シーズン開幕投手の東野峻の復活に期待しているという原辰徳監督。東野に対しては「必死にもがいている。まぁまぁじゃないでしょうか」とコメントしているが……
渡辺監督による投手のサプライズ起用はあるか?
初戦はダルビッシュと涌井の投げ合いが予告先発で発表された。次戦は、武田勝と西口となるはずだが、仮にここから2連勝を狙うのであれば、ローテーションや相性で先発を固めてしまうのも怖い。
特に西武は、'04年のプレーオフセカンドステージ以外は第2戦で勝利したことがない。だからこそ、一種の奇策も必要となってくる。
例えば、岸をファイナルステージ初戦まで温存すると考えれば、第2戦は経験豊富の石井一、若しくはデータが少ない2年目の菊池雄星を抜擢するのも面白い。
渡辺久信監督は西口について、「彼はうちの勝ち頭。今年はやってくれるよ」と信頼を寄せてはいるだけに、第3戦を託すのもひとつの手である。要は、「勝てる確率」ではなく、「勝ち方」を考えた上での投手起用も必要、ということだ。
終盤失速した日ハムと急上昇した西武。「勢い」の差を考えると……。
日本ハムは、第2戦以降、いかに有利な状態でリリーフに託せるかがカギとなる。
「うちは榊原(諒)、あとは増井(浩俊)ね。それと、抑えの武田久。後ろに安心できるピッチャーがいるから最少失点で守り抜く日本ハムの野球ができる」
梨田昌孝監督自身、絶対的な自信を寄せるリリーフ陣がいるだけに、先発の仕上がりが最重要課題となるのは当然のこと。
そうなると、終盤に乱調が目立った武田勝を第3戦かファイナルステージに回し、西武からチームトップの3勝を挙げているケッペルを第2戦に立てるのが好ましい。榊原、増井以外にも安定したリリーバーがいるだけに、ゲーム中盤からの小刻みな継投も可能となり、リードを許していてもそこから流れを変えることもできる。
シーズン終盤に大失速した日本ハムに比べ、最下位から劇的なCS出場を果たした西武のほうが勢いに乗っている、と思われるかもしれない。確かにそれもあるが、冒頭でも触れたように、3試合の短期決戦はチーム力と戦略が如実に生きる。相手の出方と自軍の戦力を俯瞰して見られるチームが勝利を手にすることができるのだ。
シーズンで得た経験を生かすのか。それとも、短期決戦仕様の布陣で戦うのか。4チームによる「下剋上」ファーストステージが間もなく始まる。