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代表再建にかけるプランデッリ監督。
EURO予選に見る新生アズーリの姿。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2011/07/13 10:30
チーム改革を進めるプランデッリ監督。EURO予選では5勝1分と無敗でグループ首位をキープしている
バルセロナの戦術をベースにした“小兵戦法”に活路。
センターフォワードを置かず、目まぐるしいポジションチェンジとグラウンダー&ハイスピードのパスワークで相手を崩す、いわゆる“バルセロナスタイル”。
かまびすしい地元メディアからの「バルサやスペイン代表を模したものか?」という指摘に、指揮官はあえて無視を決めこむものの、世界最強の名をほしいままにする彼らに範をとったものであることは間違いない。
特徴的なのは、前線のタレントが小兵揃いであること。
エストニア戦では、ロッシ(173cm)とカッサーノ(175cm)が先発し、ジョビンコ(164cm)が途中出場。カッサーノのアシストで先制点を挙げたロッシは「このスタイルは自分に合う。まわりとの呼吸も合うし、このチームでプレーできることがうれしい」と手応えを強調した。
欧州の強豪国と比べサイズ面では明らかに不利な“小兵戦法”に、新生アズーリは活路を見出しつつある。
「カネは、汗水たらして稼ぐものだ」と違法賭博疑惑に激憤を露わに。
ただし、プランデッリが抱える本当の課題とは、プレースタイルの確立とは別のところにある。地に落ちた代表人気とサッカーへの信頼の回復だ。
「われわれイタリア人は、品のない話題のニュースに慣れすぎている。カネは、汗水たらして稼ぐものだ」
6月初頭、3部リーグの現役選手やマフィアが関与したと見られるカルチョ違法賭博疑惑が発覚した際、プランデッリはこう言って激怒した。
国民の心をサッカーから遠ざけたのは、ドイツW杯での栄光後、連綿とつづく敗戦の姿ばかりではない。派手な生活に溺れる選手たちやカルチョ界そのもののモラル低下が与える影響も大きい。