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アジアカップ VS.UAE 

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木ノ原句望

木ノ原句望Kumi Kinohara

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2007/07/18 00:00

アジアカップ VS.UAE<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

 アジアカップのグループリーグ第2戦で、日本はUAE(アラブ首長国連邦)に高原の2ゴールなど、前半3点を奪う攻撃で3−1の勝利。今大会初の白星で勝ち点を4としてB組首位に立ち、グループリーグ首位突破の可能性を手繰りよせた。

 風もなく、もわっとした空気が体を包み込むように漂い、座っているだけで汗が流れ落ちてくる。「誰も心臓発作を起こさなくてよかった」とオシム日本代表監督が振り返り、「座っているだけで2キロは痩せる」とUAEのメツ監督も言うほどの蒸し暑さだった。

 だが、ピッチ上の日本選手はそんな気候を感じさせない動きを繰り返し、高い個人とチームプレーを融合させて勝利を掴んだ。

 初戦でベトナムに2−0で黒星を付けられたUAEは、負けるとグループリーグ敗退が決定する。そのせいか、湾岸諸国にはめずらしく、立ち上がりから積極的に前に出て攻撃をしかけ、日本守備陣を慌てさせたが、それも長くは続かない。前半22分のFW高原の先制ゴールが試合の流れを決めた。

 MF遠藤のCKからMF中村俊輔がクロスをあげると、ファーポストの高原がヘディングを相手ゴールに叩き込んだ。

 この一撃で若手中心のUAEは目に見えて意気消沈。その5分後に再び高原がDF加地のクロスから2点目を決めると、試合の大勢が決まった。前半42分には遠藤が倒されて得たPKを中村俊輔がきっちりと決めて3−0とした。

 「ドイツでプレーしているだけのものがある」とオシム監督が認める高原の技量がいかんなく発揮された2ゴール。特に2点目は、目の前に立ちふさがる相手DFの脇の「ここしかない」というコースをついたもの。67分に自分から申し出て交代したが、そんな体調不良などまったく感じさせない圧巻プレーだった。

 そしてそれらのお膳立ては、1点目は中村俊輔の左ゴールラインぎりぎりのところからの高質なクロス、2点目は、ゴール前にチーム全体でフィールドを広く使ってパスを回して相手を揺さぶった後の加地のクロスだった。

 中村俊輔は「3点目を取れば試合が終わるというのは頭にあった」と話し、加地は「今日は最初から2点目、3点目を狙っていた」と口を揃える。

 初戦をカタールに勝利目前で1−1の引分けに持ち込まれて、重い腰がようやく上がったのか。グループリーグ突破にはこの試合で勝ち点3を取らなくてはならなかった。

 日本選手の勝利への決意はプレーのひとつひとつに現れていた。練習してきた攻撃の形がプレーの中で生かされていた。53分に相手DFがMF鈴木へのタックルで退場になって以降は、「ベストなパフォーマンスができていたのではないか」とオシム日本代表監督も満足そうに振り返る。66分の失点がなければ文句なしの快勝だった。

 高原は、「自分たちが結果を出すことで、次に向けて頑張っていこうという循環というか、リズムをつかみたいと思っていた」と話した。

 この勝利で日本は次に対戦するベトナムと勝ち点4で並ぶ首位。勝てばグループ1位突破で準々決勝進出が決まる。試合チケットは売切れ、4万人収容のミーディンスタジアムは熱い応援を繰り広げる地元ファンで埋まる予定だ。

 だがDF阿部は言う。

 「勝った方が1位になる。勝利を目指していきたい。相手のホームだし、いいプレッシャーの中でやれる。」

 中村俊輔も「移動したくないから絶対に勝っていきたい」と話す。

 2試合を経てチームとしてようやく結束力が高まった感のある日本代表。アジアカップ3連覇へ向けて、王者たる由縁を示して欲しい。

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