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【ドリーム・チーム史上最大の挑戦】 金メダルへのローテーション。
text by
鷲田康Yasushi Washida
posted2004/08/12 00:00
日本代表の本番ローテーションは松坂の登板がカギを握る。
アテネ五輪野球の日本代表は10日、キャンプを張るイタリア・パルマで2度目の練習試合を行い15対0でセリエA選抜チームに圧勝。この日は8日の第1戦で登板しなかった6投手がマウンドに上がり、最終的な実戦テストを行い合わせて3安打14奪三振とそれぞれ順調な仕上がりを見せた。
格下相手とはいえ2試合で32個の三振を奪って無失点という日本代表投手陣。代表チームの投手陣をあずかる大野投手コーチは、これまで「先発5人を軸に中5日のローテーションを基本に回す」という方針を明らかにしてきており、この基本方針を軸に日本代表の五輪ローテーションは見えてきた。
まず軸となる先発陣は上原(巨人)、松坂(西武)、和田(ダイエー)、岩隈(近鉄)、清水(ロッテ)の5人。抑えには小林(ロッテ)、安藤(阪神)の右腕と岩瀬(中日)、石井(ヤクルト)のサウスポーという左右の2枚を用意。黒田(広島)と三浦(横浜)の2投手が先発陣が早々に潰れたり故障したときに備えたロングリリーフ要員として待機することになる。
最も注目される先発ローテーションは松坂の起用が大きなポイントとなりそうだ。
これまでの実績から開幕(15日)のイタリア戦には上原が当確。中5日で21日の台湾戦に投げて準決勝、決勝ではリリーフ待機することになる。一方、残りの4投手については「まず準決勝、決勝に投げる投手を決めてそこから逆算してローテーションを組んだ」(中畑ヘッドコーチ)と決勝で最大のライバルとなるキューバとの対戦を意識して投手を決定。過去のデータからキューバが左投手に弱いことからこの大一番には和田が指名されることが確実とみられている。
そこでキーマン松坂の起用法が問題となるわけだ。「ある意味、決勝よりも重みのある試合となる」という準決勝で背番号18がマウンドに登るのは間違いないが、さらに最初の登板がどこになるかも注目の的となる。
開幕ダッシュを優先して第2戦のオランダ戦に松坂というのが、これまで報道されてきた順当な予想で、そのケースは第三戦のキューバ戦に和田、その後は岩隈と清水で豪州戦とカナダ戦を乗り切り台湾戦が上原、最後のギリシャ戦に三浦ということになる。だが一方、大野投手コーチは「予選リーグのキューバ戦では最も強い投手をぶつけるという考えもあるけど、その投手を隠して最後までとっておくという考え方もある」とデータ解析能力の高いキューバに対してあえて和田を隠す考えを示唆。そうなると予選リーグでキューバ叩きを計るためには松坂しか残る投手はいなくなるわけだ。
その場合には17日のキューバ戦に投げれば休日2回をはさんで中6日で準決勝のマウンドとなり原則的な「先発5人で中5日ローテーション」からも大きくはずれない。このキューバ優先ローテーションでは第2戦と予選リーグ最終戦となるギリシャ戦に岩隈か清水が登板。第5戦にその2人のうちの残った1人が登板。和田は18日の豪州戦に回ることで、決勝戦には中6日とほぼベストの間隔で臨めることになる。
これまで五輪を含めて過去の国際大会では、日本はキューバの情報戦を意識して予選と決勝トーナメントでは必ず違う投手を起用。“エース隠し”をすることで、打倒キューバへの布石を打ってきた。もう一つのライバルとなるはずだったアメリカが予選で敗退。本大会に出て来ることができなかっただけに、キューバ一本に絞ったこの必勝ローテーションこそ、日本の金メダル奪取の秘策となりそうだ。
月 日 対戦相手 開幕優先ローテ キューバ優先ローテ
8月15日 イタリア 上原 上原
16日 オランダ 松坂 岩隈 (清水)
17日 キューバ 和田 松坂
18日 豪州 岩隈 (清水) 和田
19日 休日
20日 カナダ 清水 (岩隈) 清水 (岩隈)
21日 台 湾 上原 上原
22日 ギリシャ 三浦 岩隈 (清水)
23日 休日
24日 準決勝 松坂 松坂
25日 決勝 和田 和田