野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
振り返ればハムがいる?
他球団で活躍する元・日ハム選手達。
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2011/05/23 12:25
5月22日、横浜スタジアムでの日本ハム戦。激しい雨で4回中断のノーゲームとなった試合だが、横浜ベンチ内では元・日ハム選手のひちょりがパフォーマンスを繰り広げて観客を大いに沸かせた
毎年実力ある選手を出しても若手が育つ日本ハムの凄さ。
投手陣こそ劣るが、上位打線だけ見れば数年前のベストメンバーと言われても納得できるこの布陣。
さらに特筆すべきは、これらの選手を気前よく出してしまっても、糸井、中田、陽など若手が次々と台頭し、現在も本隊は一線級の戦力を維持し続けていることだ。
「その昔、ガラガラの東京ドームで僕らが見ていた夢とは、ちょっと形が変わっていますけど、今のやりかたには不満なんてありません。球団の育成システムが確立されてから、中堅・ベテランの高額なレギュラー選手を放出しても、若手で補えるメジャーの球団のような選手運用ができるのが今のハムの強みだと思いますからね。でも出した選手とは逆にトレードで獲得した選手はあんまり働いてくれないので、トレード上手と言うには微妙です。オビスポは鎌ヶ谷でスペイン語教室をやるという噂ですが」(前出F・P・M中嶋氏)
これまでの日本の野球界では感情的なものが大きく作用するためか、移籍というものはなかなか活発化しなかったが、この日本ハムの選手運用の成功を見て、追従する球団がこれから増えてくるような気がする。真似しようとしても、なかなか上手く行くものではないとは思うが。
現ハムvs.元ハム選手の対決になる対巨人と対横浜戦。
先週金曜日から、日本ハムは札幌ドームで巨人と、横浜スタジアムで横浜という、別の意味でも“交流戦”と呼べる対戦を行った。
21日の巨人戦では、9日に金銭トレードで放出された高橋信二がスタメンで移籍後初安打。札幌ドーム全体が拍手に包まれると、高橋信二は「涙が出そうになった。札幌ドームが打たせてくれたと思う。今日の声援は一生忘れない」と感無量のコメント。前日にスタメンに起用された紺田もケッペルからヒットを放つと球場全体から拍手を受けるなど、実に温かな北海道のファンらしい光景が続いた。そして横浜では、冒頭のひちょりと小谷野のやり取りである。
こういう交流戦というのも、なかなかに乙なものだ。
ハムファンの心情的には、現ハムvs.元ハム選手の対決ともいえる巨人・横浜との戦い。22日が雨で流れたため、今日、明日が横浜スタジアム、6月11、12日が札幌ドームでの横浜戦。6月5日、6日はかつての本拠地・東京ドームで巨人戦が行われる。