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小椋久美子&潮田玲子 オグシオを追跡。
text by
田桑一Hajime Takuwa
photograph byKosuke Mae
posted2008/03/13 16:45
ここでなら2人に取材が出来るということでやって来た、ベトナムはホーチミン。同地でオグシオの2人はユーバー杯の予選に出場するのだ。
ベトナム入りの直前、小椋選手は腰を痛め、しばらく練習から離れていた。しかしホーチミンで練習を再開し(しかも、他の選手とほぼ変わらないメニュー)、これなら試合に出られそうだと分かったところで話を聞いた。
──今、腰はどんな状態ですか?
小椋「今はもう全然問題ないです。でも、痛めてから本当に何もしなかったんですよね。何もせず、とにかく治してたので、完治はしてるけど、また痛めないように気をつけないといけないとは言われてます」
──久しぶりに練習してみて、動きはどうでしたか。
小椋「悪くないと思うんですけど、でもやっぱり試合の感覚を戻さないといけないなと思ってます。韓国オープンが終わってから、ちょっと間が空いてるんですよね。その間は結構トレーニングなどいろいろやっていて、2人であんまり合わせてなかったから、こっちでしっかり合わせたいですね」
──潮田さんから見て小椋さんの動きは。
潮田「腰を痛めてから、ずっと治すのに専念してもらってたのに、あんまりブランクを感じないというか、そんなにやってどうなの?― ってこっちが心配になるくらい普通に出来てるんで、なんかびっくりしました(笑)」
──もう少し慣らした方がいいんじゃないかと思うような?
潮田「そう。こっちが心配になるぐらい。でも本人も大丈夫って言ってるし、こっちも『大丈夫でしょ!』みたいな感じで(笑)。凄い心配はしてるんですけど」
故障や不調をしのぎながら、彼女たちは海外を転戦している。こう書くと悲壮感があるようだがそんなことはない。それが当然で日常に溶け込んだことなのだろう。
日本代表だけではなく、三洋電機でも2人を指導する中島慶コーチ(元・中国ダブルス代表)によると、やはり故障や体調管理は課題のようだ。
「やっぱりケガが一番の課題ですね。今は、小椋の腰の状態も心配ですけど、(オリンピックの出場権がかかるランキングが確定する)4月30日まで乗り越えるようにね。他にも技術の問題とかもあるけど、とりあえず今は、4月30日。ケガで試合に出られなくなるとツアーも終わるし、ポイントが取れなくなって世界ランキングが下がってしまいますからね」
中島コーチは、かねてよりフィジカル面について指摘し続けている。
「本当は、まず体をきちんとしないといけないと思います。それは小椋、潮田に限らず、日本のバドミントン界全体の課題。足りてないですね。でも、オリンピックに向けてのランキング争いがあるから、思い切った体作りはなかなか出来ない。試合のためにようやく調整している感じだからね」
実際、彼女たちは決して楽ではないペースで遠征している。今年に入ってからだけでも、1月7日からクアラルンプールで合宿、15日からマレーシアオープン、22日から韓国オープンと続き、2月4日から東京・西が丘のナショナルトレセンでの強化合宿を経て、このユーバー杯に臨んだのだった。
──海外を転戦する上で、体調の管理はやっぱり大変ですか。
潮田「大変ですね。一番体調管理が大変。今週は暑い国で、でも来週は寒い国とか、温度差が本当に激しいので、着るものも両方持って行かないといけなかったり」
小椋「いろんな国に行くんですよね。ベトナムみたいに水に気をつけなければいけない国とか、他にもいろんな国があるから、一年間を通して意識してないといけないんですよ」
──ウイルスに結構やられてますよね。先月やられたエンテロウイルスってどうなるものなんですか?
潮田「それは韓国から帰ってきた日なんですけど、2人とも同じ時間に夜中吐き始めて、それから一日中って感じでした(笑)」
小椋「すごい貴重な体験やったね……(笑)」
潮田「同じタイミングで始まって(笑)」
小椋「そう、同じぐらい。10時か11時ぐらいやったよね」
潮田「それから朝まで。すっごいしんどかったです」
──大変でしたね……。気分転換とか、気分を一定に保つためにすることはなんでしょう。
小椋「えー、なんにもない(笑)」
──(笑)なんにも、ですか?
小椋「でも、DVDとか見ます。プレーヤーを持ってて」
──最近見て良かったのは?
小椋「昔のドラマを見たんですけど、それが面白くてすごくはまって。聞いても分からないんじゃないかな、『サイコドクター』っていう、竹野内豊が出てた……。それを最初から最後まで、ぶっ通しで全部見続けて(笑)」
──潮田さんの気分転換は?
潮田「こういう生活をしていると、体育館とホテルの往復ばっかりで、外に出ることがほとんどないんですよね。だからオグっちと同じでDVD見たりとか、近くにスタバとかコーヒーショップがあったら選手何人かで行ってお茶したりします」
──こちらに来てから、ベトナムの料理とか食べましたか?
潮田「まだ韓国料理しか食べてないです(笑)」
── 一番ベトナムらしい体験は。
潮田「『ベトナムだ!』って感じたのはバイクがめちゃくちゃ多いことぐらいですね。ホテルから練習場までの、移動の時に」
(以下、Number699号へ)