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武豊 「今のままの顔でまた表紙を飾りたい」
text by
片山良三Ryozo Katayama
photograph byAsami Enomoto
posted2009/08/28 19:20
Number読者だった武少年が10回も表紙を飾るまでに成長。
武豊は、本誌の古くからの愛読者だったという。「Numberは子供の頃から読んでいました」という彼は、小学5年から乗馬を始め、中学に上がる頃にはその面白さを実感して「絶対に騎手になろうと決めていた」と言うが、少年時代は普通にプロ野球選手にあこがれ、関西人らしく阪神タイガースの大ファンだった。
当然ながら運動神経も相当なもの。たとえばゴルフでは、初めてコースに出たときに楽々と100を切るスコアで回り、周囲を驚かせた。それもそのはず、実家の近所にある名門ゴルフコースに父親のゴルフクラブを持ち出して潜入し、こっそりラウンドした経験があったのだそうだ。
「スポーツはなんでも好きですね。言葉がわからない外国へ行っても、テレビでスポーツ中継を見ているとそれだけで楽しい。雑誌のインタビューなどで一流選手の考えに直にふれるのはもっと好きです」
Number誌上への登場は、表紙に10回、記事では30回以上を数えるが、他の分野の一流のアスリートとの対談も数多く実現している。中には、武豊本人の希望が企画化されたものもあった。
「今でも印象に残るのは中嶋悟さんや片山右京さんとの対談」
プライベートで色んな分野のトップアスリートとお付き合いをさせてもらっているんですが、みなさん、かなりの確率でNumberを読んでいます。考えることは同じみたいで、誰がどんなことを考えてプレーしているのか、興味があるんですよね。ボクも刺激を受ける文章に出会いますし、ボクのインタビューを読んで感心したと言ってくださる人も多いんです。
中嶋悟さんや、片山右京さんと対談させていただいたことは、いまも印象に残っています。「いい騎手がいい馬に乗れる」という理屈と、「いいドライバーがいいマシンに乗れる」という理屈。違う世界なのに似ている側面があることを実感できました。それに、超一流のドライバーは誤差ミリ単位の正確さでコーナーリングし続けるんだと聞いたときは、ゾクッとしましたね。
Numberの競馬の特集号は、取り上げてもらえる関係者も喜んでいます。ボクももちろんそうです。最近は他のメジャースポーツに押されて競馬号をなかなか作ってもらえていないみたいで、それが寂しいですね。ただ、Numberさんには一貫して競馬をスポーツとして扱ってもらっている。それが本当にうれしいですね。馬券ももちろん大事なんですが、その他にもこんなドラマがある、というところを、ボクたちも頑張って見せていきたいんです。ディープインパクトが引退したあと、いまようやく新しいスターホースが出てきていますから、近いうちに競馬特集号を出してもらえると、期待しているんですよ。