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プレミア決戦へのウォームアップ!?
シャルケを格下扱いで完勝のマンU。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byMan Utd via Getty Images
posted2011/05/05 12:00
後半立て続けに2ゴールを決めたアンデルソン。準決勝で敗れはしたが日本人サッカー選手の可能性を大いに感じさせてくれた内田篤人には、胸を張ってもらいたい
次々と主力を下げ、チェルシー戦に備えたファーガソン。
2名の交代と前後して、敵の守備が第1レグなみに統率を欠くようになったことで、ファーガソンは、更に楽な気持ちで戦況を眺めることができただろう。
70分に、CBのベネディクト・ヘーベデスに代えて、FWのクラース・ヤン・フンテラールを投入したラングニックのベンチワークは、シャルケの攻撃ではなく、マンUの攻撃に勢いを与える結果となった。アンデルソンによる2得点のうち、1点目はチャンスを作り出したナニの個人技が光ったが、2点目は、アシスト役のディミタール・ベルバトフも、フィニッシュ役のアンデルソンも、完全にノーマークの状態だった。
73分、ベルバトフを下げてマイケル・オーウェンに出場機会を与え、マンUはチェルシー戦への準備も完了。残り時間は、時折カウンターの機会を窺いながら敵をいなし、無難に終了のホイッスルを待てば良かった。
マンUは、2年前に0対2で完敗したバルサに雪辱なるか?
試合後のファーガソンは、「昨晩はろくに眠れなかった。途中で4度も目が覚めて、その度に違った先発メンバーの顔ぶれを考えていたんだよ」と告白しながら、納得の笑顔を見せた。
大胆な戦力温存のギャンブルは見事に成功。しかも、決勝に向けて偵察に訪れていた、ペップ・グアルディオラ監督によるオールド・トラッフォード訪問が、ほぼ徒労に終わるというボーナスまで付いてきた。
シャルケとの準決勝から一転して、5月28日の決勝ではマンUがバルセロナの胸を借りる立場になる。
0対2で内容的にも完敗した2年前の雪辱を晴らすことは容易ではない。しかし、決勝前夜のファーガソンは今回よりもよく眠れるだろう。バルセロナ戦には、迷うことなくベストメンバーで臨むことになるのだから。