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若麒麟と隠岐の海の相撲人生を分けた裁定。
text by
服部祐兒Yuji Hattori
photograph byJMPA
posted2009/03/12 00:00
両極端の裁定が分けた相撲人生を見た。甘い裁定に気を許した力士と、厳しい裁定に発奮した力士。何とも対照的な結末だった。
朝青龍が奇跡の復活優勝を遂げた初場所の余韻が残る1月30日、相撲界に激震が走った。大麻取締法違反の現行犯で尾車部屋の十両力士、若麒麟が逮捕されたのだ。昨年9月、同様の容疑で解雇処分となった若ノ鵬。9月、協会が行った抜き打ちの薬物検査で陽性反応が出て解雇処分となった露鵬、白露山。研修会も開いて再出発を計っていた中の、まさかの不祥事再発。これまでロシア人に限られていた薬物汚染が、日本人にも広まっていた影響は極めて深刻である。協会は直ちに理事会を開き、若麒麟を解雇し、師匠の尾車親方の2階級降格を決定した。処分の甘さを指摘する声もあったが、後に若麒麟から養老金辞退が伝えられ、実質上の処分は除名と変わらなくなった。