広島だって球団OBはAクラス予想をしてくれるのに……。

　横浜とほぼセットで5位に予想されている広島にも目を覆うものがあるが、こちらはOBの野球解説者、達川光男氏が3位に、安仁屋宗八氏は「優勝」と、Aクラスに予想している人も見受けられる。これを贔屓の引き倒しと言って恥じる人もあるかもしれないが、球団愛を貫いてくれるOBがいてくれることは、正直ちょっと羨ましくもある。

　なぜなら横浜に限っては、平松政次氏、高木豊氏、阿波野秀幸氏、駒田徳広氏、佐々木主浩氏に、元監督の大矢明彦氏などが最下位。斉藤明雄氏、小宮山悟氏、元監督では関根潤三氏、牛島和彦氏（最下位の可能性も、と予想）らが5位に予想と、出身球団だからといって、決して媚びない、切れ味鋭い順位予想を繰り広げているのだ。

　しかし、これは何も横浜OBの評論家たちが、こぞってベイスターズ愛に欠けているというわけではない。昨シーズン、とある野球評論家はこんなことを言っていた。

「評論家という仕事をやらせてもらっている以上、嘘は言えないよ。たとえオマケして横浜を上位にあげようと思っても、上げる戦力の要素が何もないからねぇ……」

　なるほど。ぐぅの音も出ない。

「変わろうと努力していますよね……それに期待します」

　そのOBの心苦しさが垣間見れたのが、横浜OBの出演者も多いCSプロ野球ニュースの、11日に放送された開幕直前特番だった。

　セ・リーグのペナントの行方を議題にしたトークの中で、唯一横浜の話が出たのは、最後の最後にMCのアナウンサーが、高木豊氏に「今年の横浜はどうですか？」と、話を振った時のみ。

「変わろうと努力していますよね……それに期待します」

　ものすごくバツが悪そうに、なんとでも取れる答えを絞り出す豊氏。その心中を察してか、スタジオ内には微妙な半笑いが蔓延する。

　これは、よっぽどなのだろう……いや、よっぽどなのだ。

　悪い要素を挙げたらキリがない。3年連続90敗で、昨年は55年ぶりの95敗。昨シーズン終盤の身売り騒動をはじめここ数年ゴタゴタ続きのチーム状態に加え、戦力面では村田修一と共に打線の中核を担った内川聖一がFAで流出し、昨年規定打席に達した下園辰哉は骨折で離脱し、期待の筒香嘉智は二軍スタート。「勝ちに行く」と高らかに宣言したオープン戦も、気がつけば最下位。

“計算できる実績のある先発ピッチャー”が、いない!?

　そんな負の要素だらけのなかでも特に評論家陣からの受けが悪かったのが投手陣だ。

　コメントの一例を挙げてみる。

「根本的に投手陣が他球団より格段に落ちる」 （今中慎二氏）
「あまりにも投手が薄すぎるよなぁ…」 （江本孟紀氏）
「タイトルを争える投手がおらず、よくても勝率5割」 （阿波野秀幸氏）

　悔しいが、正論だ。

　エース三浦大輔は昨年から不調が続き、清水直はケガで離脱。前評判のよかったリーチも震災で帰ってしまったし、オリックスから来た山本省吾、昨年7勝の大家友和は別として、高崎健太郎、眞下貴之、阿斗里などと期待を懸ける若手投手の名をいくら叫んでみても、順位予想のカギになる“計算できる実績のある先発ピッチャー”となると、かなり厳しい。

【次ページ】　「ひちょりさん、直人さんが入ったことは大きい」