日本代表、2014年ブラジルへBACK NUMBER
若手だけ? あるいは主力も招集?
混迷深めるコパ・アメリカ参加の条件。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2011/04/25 10:30
ザッケローニ監督は「(コパ・アメリカへの参加は)W杯へ成長する大切なステップになる」と発言し、さらにイタリア代表との親善マッチへも動いていることも明かした
欧州組招集以上に難しい!? 国内からの招集に大問題。
日本協会は欧州組だけで15人を招集したいという意向を南米連盟サイドに伝えているという。そこがクリアされなければ再辞退もあり得るとのこと。3月に行なわれたチャリティーマッチで呼んだ欧州組はマジョルカの家長昭博を加えて12人だった。これに3人プラスしなければならない。常連の森本貴幸や、南アフリカW杯メンバーの矢野貴章やフェイエノールトでブレイク中の宮市亮らが候補に挙がってくるだろう。いずれにせよ、多くのクラブに理解を求める作業は時間を要することになる。
懸案は欧州クラブからの大量招集問題にとどまらない。
むしろ、国内からの“限定招集”のほうが今後大きな問題となる可能性をはらんでいるような気がしてならない。
現時点で日本協会は、コパに向かう日本代表は欧州組を主体として、国内組はあくまでバックアップというチーム編成のスタンスを掲げている。「若手」という括りは極めて曖昧なのだが、スタメンクラスではなく、かつ20歳前後の選手を指しているとみられる。6月にロンドン五輪予選を戦うことになっている五輪代表メンバーを7月に続けて呼ぶことは考えにくく、選考に漏れた選手などが対象になってくるのだろう。だが、メンバー選考にあたるアルベルト・ザッケローニがこのことを完全に了承しているのか、その点がまだ見えてこないのだ。
ザックの希望は“海外組+国内組の主力”のベストチーム?
そもそも大震災の影響もあって、代表の強化プランが思うように進んでいない。
3月に予定されていたモンテネグロ、ニュージーランドとの親善試合は中止となり、チャリティーマッチに切り替わった。短期間のキャンプこそ行なえたが、9月からのW杯予選に向けて、チームづくりを急ピッチで進めたい意向がザッケローニにはあるはずである。
指揮官は国内組のメンバーに経験を積ませる大会としてコパ・アメリカを捉えていた。しかし、強化が遅れている現状で、欧州組を大量に呼べることになれば、大会へのスタンスが変わっても不思議ではない。経験を積ませる目的が、本格的な強化に必要な大会になってしまったのだ。近い将来に代表へ招集する可能性が低い「若手」を呼ぶよりも、国内組の主力を確保して、出来る限りベストチームで臨みたいというのが、指揮官の本音なのではないだろうか。
協会は「経験を重視する大会」として国内組は若手で行くという姿勢を崩していないが、ここはザッケローニとしっかりコンセンサスを図る必要がある。もしザッケローニが主力の招集を強く望み、協会としても動かざる得なくなれば、守備の中心に置いている今野泰幸、攻撃の心臓部である遠藤保仁については招集の可能性を模索していくことになるのは火を見るよりも明らかである。