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元日本代表のラグビーアカデミーが「障がい者歓迎」を掲げたワケ…「出来ると思っていなかった」発達障害を抱える“193センチ、127キロ”選手の言葉

posted2024/04/25 11:03

 
元日本代表のラグビーアカデミーが「障がい者歓迎」を掲げたワケ…「出来ると思っていなかった」発達障害を抱える“193センチ、127キロ”選手の言葉<Number Web> photograph by Elite Rugby Academy

茨城県Elite Rugby Academyの君島良夫代表(左)。アカデミー生である正田信也さん(右)は自閉スペクトラム症とADHDの診断を受けているという

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多羅正崇

多羅正崇Masataka Tara

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Elite Rugby Academy

 茨城県内にラグビー元日本代表の選手らが子どもたちに教えるアカデミーがある。平日放課後を中心に活動する「Elite Rugby Academy」(ERA)だ。日本開催で盛り上がった2019年のラグビーW杯の人気を背景に、県内でラグビー文化を根付かせるべく設立されたのだが、実はいま同アカデミーには「自閉スペクトラム症」を抱えた選手が在籍している。そこにはどんな背景があったのだろうか?<前後編の前編/後編につづく>

ラグビーアカデミーに届いた「1通のメール」

 2023年11月。小中学生を対象とした茨城県の平日ラグビーアカデミー「Elite Rugby Academy」(ERA)のもとに、1通のメールが届いた。

 差出人は、茨城県在住の正田直紀さん・真紀さん夫妻。

 息子の信也さんは、特別支援学校の中等部3年生(当時)だった。

「本人は大勢が苦手なタイプなのですが、『ラグビーをやりたい』と言っています。検索したら『障がい者歓迎』のマークがある『Elite Rugby Academy』を見つけました。それを見て、勇気をだしてメッセージを送りました。もし体験参加などありましたら、ぜひ教えてください」

 そんな体験希望のメールから4カ月後。

 アカデミーの練習拠点である茨城・水城高校グラウンド。夜間照明の下、アカデミー生となった信也さんが、小中学生とラグビーボールを追いかけていた。

 練習を見守る父・直紀さん、母・真紀さんにとっては驚きの連続だ。

 小学校の運動会は「見る参加」や「15分で帰宅」ばかりだった。自閉スペクトラム症とADHDの診断を受けている息子が、同年代の集団に混じって、スポーツを楽しんでいる。

【次ページ】 当初は「障がい者歓迎」とは明記せず

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