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元日本代表選手のラグビーアカデミーが発達障害の選手を受け入れて感じたリアル…「予想外だった」チームメイトの“意外な反応”とは?

posted2024/04/25 11:04

 
元日本代表選手のラグビーアカデミーが発達障害の選手を受け入れて感じたリアル…「予想外だった」チームメイトの“意外な反応”とは?<Number Web> photograph by Elite Rugby Academy

Elite Rugby AcademyのHCを務める廣瀬慎也教諭(左)は特別支援学校での経験も。自閉スペクトラム症とADHDの診断を受けているアカデミー生の正田信也さん(右)

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多羅正崇

多羅正崇Masataka Tara

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Elite Rugby Academy

 茨城県内にラグビー元日本代表の選手らが子どもたちに教えるアカデミーがある。平日放課後を中心に活動する「Elite Rugby Academy」(ERA)だ。日本開催で盛り上がった2019年のラグビーW杯の人気を背景に、県内でラグビー文化を根付かせるべく設立されたのだが、実はいま同アカデミーには「自閉スペクトラム症」を抱えた選手が在籍している。そこにはどんな背景があったのだろうか<前後編の後編/前編から読む>

 2023年11月の金曜19時。水戸駅至近の練習グラウンド。

 茨城、福島から平日にラグビーをしたい子ども達が集まり、夜間照明の下で練習をはじめた。

ヘッドコーチは特別支援学校での勤務経験あり

 アカデミーのヘッドコーチは、特別支援学校での勤務経験がある日立第一高校の廣瀬慎也教諭だ。

 この日、練習に体験参加する予定だったのは、自閉スペクトラム症とADHDの診断を受けている正田信也さん。廣瀬ヘッドコーチは事前に受け入れ体制を整えていた。

「一般的に自閉スペクトラム症の場合は『見通しを立てて行動することが苦手』ということは理解していたので、事前にご両親とやりとりをしつつ、本人にはこちらから説明して『分かる?』『どうしたい?』と訊いていく体制は取ろう、と話していました」

 あとは実際に会ってみなければ分からない。

 廣瀬ヘッドコーチは体験参加の日、初めて信也さんと言葉を交わした。

「受け答えが想像以上にできていたので『あまり心配しなくていいかな』と思いました。困っている時にだけ声を掛けることにして、あとは『他の子ども達がどういうアプローチをするのか』を見守ることにしました」

 その子ども達の反応が、予想外だった。

「とにかく身長が大きいので(※信也さんは193センチ、127キロ)、子ども達は『すごい子がきた!』とワクワク感が勝っていたようです(笑)。『何のスポーツしてたの?』とか『どこの学校なの?』と訊いてました。障がいがあることは子ども達には二の次だったのかな。子ども達の反応は、我々の想像を超えていました」(廣瀬ヘッドコーチ)

【次ページ】 「このチームは子ども達が楽しそうにしています」

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