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拍子抜け!だったマルケスのドゥカティ移籍後初レース…「決勝4位」が意味する現状と「絶対王者」が真価を発揮するとき 

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遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

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posted2024/03/13 11:01

拍子抜け!だったマルケスのドゥカティ移籍後初レース…「決勝4位」が意味する現状と「絶対王者」が真価を発揮するとき<Number Web> photograph by Satoshi Endo

ドゥカティでの初戦となった今季開幕戦カタールGP決勝を、マルケスは驚くほど淡々と走った

 カタールでのマルケスは23年型デスモセディチGP、つまり型落ちのマシンに乗り、そのベストタイムを1秒近く更新している。一方、昨季の王者フランチェスコ・バニャイアと総合2位のマルティンが「24年型はフロントの問題が解消した」と語り、最新型で大きくタイムを更新した。マシンの差はやはりブレーキング時の挙動にあるようだが、マルケスはその課題をどう解決するのだろうか。

 サテライトチームで走るここまでのマルケスは、ホンダワークス時代のように常にニューパーツをテストするわけではなく、ベストなセッティングを追求して走り込みに重点を置いている。

 それが第2戦ポルトガルGPでどんな走りにつながるのか。パドックでこんな話を聞いた。──マルケスはドゥカティ陣営に対して「自分はこう乗りたい」とリクエストしたが、「このままで乗ってほしい。その方が速いから」と言われた──本当ならば、ホンダ時代では考えられなかったチームの対応だ。

 かつての絶対王者もドゥカティ陣営に加わり、しかもサテライトチームとなれば、この扱いは当然のことかも知れない。しかし、マルケスがバニャイアやマルティンを凌ぐ走りを見せるようになったら、サポート体制にも変化が訪れるのかも知れない。

真価を発揮するのはアメリカズGP

 次戦の舞台となるアルガルベ・インターナショナル・サーキットは、アップダウンが激しく、ブラインドコーナーの多いレイアウト。本来ならマルケスの強さが際立つコースだけに、カタールGPからどれだけ進化した走りを見せてくれるのかに注目が集まる。そして第3戦アメリカズGPはマルケスが得意中の得意とするCOTA(サーキット・オブ・ジ・アメリカズ)での開催。マルケスがドゥカティ初優勝を遂げるとしたら、その舞台はかなりの確率でアメリカズGPだろうと僕は予想する。

 開幕戦の拍子抜けといえる結果を、僕は「これもまたマルケスのサプライズ」だと見ているのだが、元・絶対王者が真価を発揮するのはこれからの戦いである。

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