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拍子抜け!だったマルケスのドゥカティ移籍後初レース…「決勝4位」が意味する現状と「絶対王者」が真価を発揮するとき

posted2024/03/13 11:01

 
拍子抜け!だったマルケスのドゥカティ移籍後初レース…「決勝4位」が意味する現状と「絶対王者」が真価を発揮するとき<Number Web> photograph by Satoshi Endo

ドゥカティでの初戦となった今季開幕戦カタールGP決勝を、マルケスは驚くほど淡々と走った

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遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

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 今季、ホンダからドゥカティに乗り換えたマルク・マルケスが、開幕戦カタールGPをスプリント5位、決勝レース4位で終えた。ウインターテストでも、マルケスの順位はトップ5前後だったが、注目のデビュー戦もそのままの結果ということになった。

 ホンダ時代終盤に低迷する前のマルケスは、世界中のレースファンを何度も驚かせてきた。予測不可能というか予想をはるかに凌駕する走りでファンや関係者の度肝を抜き、「絶対王者」として世界の頂点に君臨してきた。そのマルケスが現在最強のドゥカティで臨んだ初レースだっただけに周囲は期待したが、意外と順当な結果に終わり、ある意味、拍子抜けの開幕戦となった。

 マルケスは予選を6番手で終えた。そして、土曜日に行われたスプリントでは序盤にポジションを落としたが、追い上げて5位でフィニッシュ。スプリントは昨年から始まったレースで、決勝の半分の距離で戦われる。こういう短期決戦的なレース、例えば悪天候などでマシンを乗り換える“フラッグ・トゥ・フラッグ”などで、従来のマルケスは圧倒的な速さを見せてきた。マシンのパフォーマンス不足に苦しんだこの数年のホンダ時代でさえ、スプリントで驚異的な走りを見せることもしばしばあった。そのマルケスが、大きな見せ場もなく5位でチェッカーを受けてしまったのだ。

全力でプッシュした

 日曜日の決勝レースでは、まずまずのスタートを切ってトップグループに加わった。中盤過ぎまでは表彰台獲得も期待させる走りだったが、後半は3位を走るホルヘ・マルティンを淡々と追撃する形で4位。ここでも「サプライズ」はなかった。

 決勝を走り終えたマルケスは、こうコメントした。

「開幕前から言っている通り、いまの自分の目標は6位以内になること。今大会も4、5人は自分より速いライダーがいた中で、スプリントでは5位、決勝レースは4位になれた。『もう少しで表彰台だったんじゃないか』と言われたが、結果に対してフラストレーションはまったく感じていない。なぜなら、スプリントも決勝も全力でプッシュしたし、それ以上に彼らは速かったからね」

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