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野茂英雄が「藤浪くんに伝えたいことがある」阪神・藤浪晋太郎、メジャーへの意識が変わった日…盟友アナウンサーが明かす「渡米前日譚」 

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堀尾大悟

堀尾大悟Daigo Horio

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photograph byHideki Sugiyama

posted2024/02/28 06:01

野茂英雄が「藤浪くんに伝えたいことがある」阪神・藤浪晋太郎、メジャーへの意識が変わった日…盟友アナウンサーが明かす「渡米前日譚」<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

今季、ニューヨーク・メッツでMLB2シーズン目を迎える藤浪晋太郎。阪神で一軍に定着できていなかった彼がメジャー挑戦を決断するまでに何があったのか

 翌6日のエンゼルス戦も、藤浪は8回のマウンドに立った。現地の実況アナウンサーはこの日もスタンドで声援を送る「富士山帽の日本人」を見つけるや、こう絶叫した――。

「あそこにいるのはユウヒ・ハットリ! 彼は世界一のフジナミファンだ!」

順調に進んでいたスポーツ実況のキャリア

 関西テレビのアナウンサー・服部優陽は、その日のことを嬉しそうに振り返る。

「あの日の動画がSNSでもバズっちゃって。ボルチモアの本拠地に行くと、『お前、この間アナハイムにいたよね。なんでここにいるんだ?』って地元のファンに不思議がられましたよ。西の球場にいたヤツが東の球場にいるなんて、アメリカではありえませんからね(笑)」

 服部は2016年に関西テレビに入社。プロ野球、競馬をはじめとするスポーツ実況で着実に実績を積み、2022年には「第38回FNSアナウンス⼤賞」スポーツ部⾨を最年少で受賞した。一部競馬ファンの間ではアニメ『ウマ娘 プリティーダービー』を愛する「ウマ娘ヲタアナ」としても人気だ。

 アナウンサーとして同局で順調なキャリアを歩んできた服部は2022年末、ある大きな決断に踏み切る。阪神タイガース・藤浪晋太郎のメジャー初挑戦を見届けるため、会社を休職して渡米する、というものだ。

 その異例ともいえる決断に至るまでに、何があったのか? 服部と藤浪との出会いから経緯をたどっていきたい。

藤浪との出会い

 2017年。入社2年目の服部は、スポーツ新聞社の知人から「藤浪と食事に行くけど、どう?」と誘われる。それが藤浪との最初の出会いだった。

「そのときから、お互いにウマが合ったんです」と服部は笑顔を見せる。

「野球はもちろん、競馬など共通の趣味が多かったですね。何より、会っていてストレスがないんですよ。『こう聞いたらこう返ってくるやろな』と、お互いに何を考えているかなんとなくわかるんです」

 当初は「さん」付けで呼び合う距離感だったが、会う回数を重ねるごとにどんどん心の距離が近づいていき、気づいたらどちらからともなく連絡を取り合い、タメ口で話す間柄になっていた。

【次ページ】 こんなに考えているのに…

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