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Theory(9)現代最強クラブにキャプテンは不要――グアルディオラが「最後の主将」になった理由

posted2024/02/19 09:01

 
Theory(9)現代最強クラブにキャプテンは不要――グアルディオラが「最後の主将」になった理由<Number Web> photograph by Getty Images

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豊福晋

豊福晋Shin Toyofuku

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かつて「古き良き主将」が君臨していたフットボールの世界。だが、バルセロナで偉大なるキャプテンと讃えられた男は、指揮官に就任するやいなや、その伝統を根本から覆していく。稀代の名将が現代のピッチ上で表現するチーム作りの哲学とは。

 2008年の初夏、ペップ・グアルディオラがバルセロナの監督に就任した直後に手をつけた変革のひとつに、キャプテンの数を増やすというものがあった。

 当時のバルサには絶対的なキャプテンがいた。クラブ生え抜きであり、闘将と呼ばれたセンターバック、カルレス・プジョルだ。集団を率いるリーダーシップがあり、ピッチの上では誰よりも闘った。プジョルは時には厳しく選手を教育することのできる人格者だった。多くの物事においてカタルーニャ州出身であることが前提とされるバルセロナというクラブにおいて、彼は理想のキャプテンだ。もうひとりはシャビ・エルナンデス。同じく下部組織育ちのカタルーニャ出身という、こちらも条件を兼ね備えた存在だった。

 グアルディオラはそこにふたりのキャプテンを加えた。アンドレス・イニエスタとビクトル・バルデスだ。共に下部組織出身。アルバセテ出身のイニエスタはカタルーニャ人ではないが、幼い頃からマシアに入りクラブの中で育っている。4人の中でも絶対的な存在はプジョルであることには変わりはなかったものの、総数を増やすことでプジョルに一極集中する負担を減らし、それ以外の選手にも責任感を植え付けた。複数のキャプテンを任命するスタイルは現在率いるマンチェスター・シティでも続けている。

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