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「(批判が)集中し過ぎだと思う」鈴木彩艶21歳を支える先輩・前川黛也の“声掛けの中身”…「TVには映らない」GK3人組の知られざる関係性 

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矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

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posted2024/01/26 17:02

「(批判が)集中し過ぎだと思う」鈴木彩艶21歳を支える先輩・前川黛也の“声掛けの中身”…「TVには映らない」GK3人組の知られざる関係性<Number Web> photograph by Getty Images

アジアカップではここまで全ての試合でゴールマウスを守る鈴木彩艶

 この試合で批判を浴びたのは鈴木自身が「技術的なミスだった」と唇を噛んだ前半33分の2失点目だ。相手のFKからヘディングシュートを打たれ、一度は弾いたがこぼれ球を押し込まれた。

差別発言をした友人を諭す、心の優しい小学生時代

 続く第2戦のイラク戦はスタジアム全体からイラクへの大声援が降り注ぎ、日本にとっては完全アウェーの異様なムード。立ち上がりから不安定な対応を見せていた鈴木はこの試合でも2失点を喫した。前半5分、右サイドからクロスを入れられると、鈴木のパンチングが中途半端になり、このボールを長身選手のフセインに頭で叩き込まれ、先制を許した。

 前半アディショナルタイムにはまたしてもクロスからフセインがヘディングシュート。鈴木はボールに触れたが掻き出すことができず、0-2とされた。

 イラク戦では鈴木に批判が集中した。容赦ない、そして心ないと言えるような言葉もあった。それだけではない。ピッチ上の内憂だけでなく、ピッチ外からはあってはならない攻撃を受けた。イラク戦から3日後の練習後に設けられた取材対応の場で、鈴木はSNSを通じて差別的発言が届いたことを自ら明かし、「控えていただきたい」と訴えた。

 サッカーを始めた頃の鈴木は、まだ知識のない子ども同士のやりとりの中で人種差別的なことを言われると、「そういうことを言っちゃダメなんだよ」と寛容な笑顔で友だちを諭す、心の優しい小学生だったと聞く。その鈴木が記者からの質問に答えた形ではなく、自らこの問題を切り出した。強い憤りが伝わった。

森保監督「あってはいけないこと。断固抗議する」

 ただ、この件に関しては23日にあったインドネシア戦前の公式会見で森保監督が「あってはいけないこと。断固抗議する」と表明。翌24日には日本サッカー協会の田嶋幸三会長が「断じて許されない行為。法的措置も辞さない」と声明文を出しており、インドネシア戦の時点で鈴木は「チームと日本サッカー協会全体で、許さないという意志を強く示してくれた。サッカーに集中できていた」と試合への影響はなかったと話していた。

【次ページ】 先輩・前川は熱い言葉で“彩艶批判”に反論

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