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「長期低迷の原因の1つは、私の考え方にある」オリックス前オーナー・宮内義彦がいま明かす後悔「野球だけ神聖化して赤字を許すことはできなかった」

posted2024/02/10 06:01

 
「長期低迷の原因の1つは、私の考え方にある」オリックス前オーナー・宮内義彦がいま明かす後悔「野球だけ神聖化して赤字を許すことはできなかった」<Number Web> photograph by Katsuo Sugano

自著『諦めないオーナー』で低迷期の後悔を綴ったオリックス元オーナーの宮内義彦氏。いま明かされる当時の考え方とは――。

text by

宮内義彦

宮内義彦Yoshihiko Miyauchi

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photograph by

Katsuo Sugano

 オリックス球団のオーナーを34年間にわたって務めた宮内義彦氏(現オリックス シニア・チェアマン)。球団買収から球団合併、そして常勝球団までの道のりを綴った『諦めないオーナー プロ野球改革挑戦記』(日経BP、2023年12月18日刊行)では、オーナー時代の後悔を率直に明かしている。本書より一部を抜粋してお届けする。(全3回の第2回/初回から読む)

長期低迷の原因の1つは、オーナーであった私の考え方

 新生オリックス・バファローズとして迎えた05年も、4位に沈みました。その後、08年と14年こそ2位になりましたが、あとはずっとBクラス(4位以下)。この間、多くの監督や指導者を招き、また即戦力として他球団の選手を補強してみました。それでも、結果に結び付かない。そんな苦しい時期が続きました。

 毎年、シーズン前の激励会では「今年こそ優勝を」と発破をかけるのですが、その言葉もむなしくなるほどの低迷です。本書で折に触れて書いてきましたが、この長期低迷の原因の1つは、オーナーであった私の考え方にあると思っています。

いま明かされる後悔

 私の後悔。まず、私自身が球団に対して割くエネルギーや時間が圧倒的に足りなかったという点です。50代でオーナーになったときは、それこそオリックスという会社をどのように大きく成長させていくかでテーマや課題が山積みでした。プロ野球参入の理由も「知名度を一気に高められるから」でした。そしてこの目的を見事に果たしたのです。

 それを果たした後はどうしても、本業に加え、政府関係や財界の仕事で頭がいっぱいになってしまった。プロ野球のことについては、一ファンとしてはともかく、経営者としては時折頭の中をよぎる程度の関心しか払えませんでした。

 大変失礼な話ですよね。12人しかいないプロ野球のオーナーがこれではいけなかったのです。やはり、チームの成長や球界の発展に向けて、オーナーがしっかりと意志を持って動かなければいけなかった。

素直に、ファンの皆さんに申し訳ない

 今はオリックスのシニア・チェアマンとして、会社の経営を後進に委ねて、一線からは外れています。だから野球のこれからについてもたくさん考える時間がある。この余裕が昔にあれば、オリックスというチームについてもっと理解を深め、何か別の手を打てたかもしれない。そうしたらこんなに長い低迷はなかったかもしれない――。

 そこに関しては素直に、ファンの皆さんに申し訳ない気持ちです。

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