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“朝倉未来を失神させた男”YA-MANが号泣…「絶対にやり返します」平本蓮に敗れ、傷だらけの顔で語った「どうしても勝ちたかった」本当の理由 

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布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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photograph byRIZIN FF Susumu Nagao

posted2024/01/05 17:00

“朝倉未来を失神させた男”YA-MANが号泣…「絶対にやり返します」平本蓮に敗れ、傷だらけの顔で語った「どうしても勝ちたかった」本当の理由<Number Web> photograph by RIZIN FF Susumu Nagao

『RIZIN.45』で平本蓮に敗れ、リング上で号泣するYA-MAN。試合後の会見でも悔し涙を流していた

「別にカットしないで、もらってもいいやと思っていました。蹴ってきたら、返せばいいという感じでした」

 会見後、YA-MANは椅子から立ち上がるだけでもしんどそうで、足を引きずって歩いていた。それでも効いていないと言い張るのは、彼のファイターとしての矜持以外のなにものでもない。

勝負の分かれ目となった「グラウンドでの攻防」

 勝負の分かれ目は2ラウンドの終盤、グラウンドで下になったときの攻防だった。

「あのとき、下から抜けようと思えば、抜けることができた。でも、スタミナが切れるんじゃないかと思い、『ここはスタミナを温存して、3ラウンドで決めよう』と……。心の弱さが出てしまった」

 思い立って即座に行動に移すのではなく、次のラウンドに託すという考えを、試合後のYA-MANはよしとしなかった。

「あそこで無理やりにでも残ったスタミナを使って抜けていたら、相手も疲れて3Rはもっと違う展開になっていたんじゃないか」

 スタンドでは冷静さを欠くほど強気一辺倒で攻める一方で、グラウンドでは弱い自分が顔を覗かせていた。キックボクサーとしては18戦のキャリアを誇り、RISEのオープンフィンガーグローブマッチの初代王者という肩書を持つ。対照的にMMAファイターとしては、これがまだ2戦目。グラウンドの技術がいまひとつなのも無理はないだろう。

 冒頭で敗北を認めたと記したが、それは判定が下されたあとであって、試合終了直後のYA-MANは「自分の勝利」という見方もしていた。

「(自分のパンチで平本が)すごく揺れている場面が何回かあった。相手をロープに押しつけている場面も自分の方が長かったので」

 とはいえ、判定が下されると、YA-MANは気持ちを切り換え、ジャッジは平本のパンチの正確性をとったと判断した。

「平本は打たれ強かった。今までの相手だったら、倒れていたパンチが何個もあった」

 奇しくも平本も「YA-MANは打たれ強かった」と語っている。お互いが意地をまとったタフさを持っていたがゆえに、至近距離での激しい打ち合いになってもどちらも倒れることがなかったのか。

 試合には敗れたが、YA-MANの熱い思いは超満員の大観衆や、ネットの有料配信(PPV)で視聴していた全国の格闘技ファンにストレートに伝わっていた。試合後、SNS上でYA-MANを称える言葉が目立っていたことがそれを証明している。朝倉未来に勝ったときとはえらい違いではないか。

【次ページ】 「自分がKYだというのはあった。けど…」

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