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「高校時代はスコアブックを見る程度」の西武・平良海馬が…“データ野球の申し子”になった真相を明かす「その頃から高めを狙うという」

posted2024/01/05 17:30

 
「高校時代はスコアブックを見る程度」の西武・平良海馬が…“データ野球の申し子”になった真相を明かす「その頃から高めを狙うという」<Number Web> photograph by Seibu Lions

平良海馬はデータ活用が進む球界を象徴する1人だ

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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Seibu Lions

 大谷翔平をはじめとしたメジャーリーガーが多種多様なデータやテクノロジーを活用していることは野球ファンに知られ始めているが、NPBはどう実装しているのか。西武ライオンズの担当者や選手たちに“リアルな活用法”を聞いた。(全3回の第3回/第1回第2回も配信中です)

 平良海馬投手は、八重山商工から2018年にドラフト4位で入団。2年目の2019年から救援投手として一軍のマウンドに上がり、2020年以降は3年連続で50試合以上登板、通算で101ホールドポイントを挙げ、2020年に新人王、2022年には最優秀中継ぎ投手賞を受賞。また21年の東京五輪でも侍ジャパンの一員として金メダルを獲得するなど絶対的なセットアッパーだったが、2023年から先発に転向。規定投球回数に達して11勝を記録した。

 こうした活躍の背景に、データの活用があったという。

高校時代はマネージャーのスコアブックを見る程度から

「高校時代はマネージャーのスコアブックを見る程度で、特にデータのことは知りませんでした。プロに入って先輩やいろんな方に機器の使い方や、こんな活用法があるよっていうのを教えていただいて、そこからデータに興味を持ちましたね」

――投手が見る測定機器には弾道計測器のトラックマンや、ラプソードがありますが?

「最初はラプソードから入って、自分の球がどのくらい曲がったり落ちたりするのかを知ることができたのが、本当に面白いなと思いました。最初の頃のデータでは、ストレートとカットボールのデータが少しごちゃごちゃになっていて、いわゆる真っスラみたいな球で、どっちを投げているのかわからない状態でした。球質も安定していなかったところがあったのですが、2年目からはストレートはストレートで、カットはカットという風に投げ分けをするようにしました」

 ちなみにラプソードとトラックマンとは同じ弾道計測機だが、使用方法は微妙に異なる。ラプソードは投手と捕手の間に設置するのが一般的で、練習時に用いられることが多い。一方で捕手の後ろに設置するトラックマンは、試合が中心だが、ポータブルタイプのトラックマンは練習でも使用される。ラプソードの方が手軽に使える感覚がある。

タブレットを横に置いて、投げるたびに確認して

――投げ分けをするにあたってはアドバイスを貰ったのでしょうか?

「アナリストの方からアドバイスを貰いました。簡単に言うと回転軸をストレートの回転、カットの回転と投げ分けることで、2つの球種をしっかり区別できるようにしました。意識したのはボールの握りです。指先の少しの角度の違い、5度とか6度くらいリリースの感触を変えるだけ、という感じでしたね」

――球種の投げ分けに取り組んだのは、シーズン前ですか?

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