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「高校時代はスコアブックを見る程度」の西武・平良海馬が…“データ野球の申し子”になった真相を明かす「その頃から高めを狙うという」 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph bySeibu Lions

posted2024/01/05 17:30

「高校時代はスコアブックを見る程度」の西武・平良海馬が…“データ野球の申し子”になった真相を明かす「その頃から高めを狙うという」<Number Web> photograph by Seibu Lions

平良海馬はデータ活用が進む球界を象徴する1人だ

「データを見て、今回の登板ではスライダーの曲がりが小さかったので、次の登板ではしっかり曲がるように、グリップの調整をしようとか、そういうこともありますね」

 こういう形で、平良投手は〈自分のコンディション、感覚とデータ〉を常にすり合わせて調整をしているのだ。

 今の投手は「何となく調子が悪い」「変化球の変化が良くない」といった状態をそのまま放置するのではなく――常にデータをチェックして状態を見極め、具体的な解決策を見つけて実行している。

先発転向後、データチェックは基本的に変わらないが

――今季、平良投手は救援から先発に転向しました。役割は大きく変わりましたが、データをチェックする部分などは変わったのでしょうか?

「大きく変わったことはないんですが、ただ球速とか変化球の曲がり具合などは、中継ぎと先発では力感が違います。その部分は多少変化したかなと思います。球種的には全く同じでした」

――しかし2022年のシーズンの球数は846球、今季は2458球。パワーの配分は変わったのでは?

「やっぱり3倍投げれば投げる分、疲労が筋肉的には来るので、筋肉痛だったり、疲労感をどう早く抜くか、みたいなところが変わったところかなと思います」

――1イニング当たりの球数は、昨年は14.7球、今年は16.4球と、救援のときより先発になってからの方が若干多くなっていますが?

「やっぱり先発投手はマラソンですから、最初から飛ばすわけにいかないので、すぐに勝負に行くのではなく、ペース配分もしますし、そういうところは慎重になっていると思います」

その頃から高めを狙うというスタイルを心がけています

――先輩の先発投手からのアドバイスはあったのでしょうか?

「ありましたね。あと、どうやって疲労回復するのかを先輩によく聞きました。中6日の時間の過ごし方は、まずチームの練習に出て、あとはウェイトトレーニングなどをして筋力が落ちないように心がけています。またマッサージも毎日受けてその筋肉の疲労感をしっかり取っていました」

――2023年の平良投手は、高めのストレートをびしっと投げ込んでいたような印象がありましたか?

【次ページ】 体も鍛えながら、データの勉強も

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