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直前評価は真っ二つ? ドラ1候補の東洋大・細野晴希「ジキルとハイド」の投球に見るMAX158kmの“底知れぬ潜在能力”「安定感はない。それでも…」 

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酒井俊作

酒井俊作Shunsaku Sakai

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photograph byHideki Sugiyama

posted2023/10/25 11:00

直前評価は真っ二つ? ドラ1候補の東洋大・細野晴希「ジキルとハイド」の投球に見るMAX158kmの“底知れぬ潜在能力”「安定感はない。それでも…」<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

注目左腕の東洋大・細野はどの球団の指名を受けるのか

 ロッテ・榎康弘アマスカウトグループディレクターが「最大の魅力はポテンシャルの高さです。能力は高いし、伸びしろがある投手ですね。ピンチで勝負球を投げて三振を取れる力もあります。試合勘があるし、勝負所で落ちる球を投げている。モノにできれば幅は広がる」と高く評価すれば、日本ハムの大渕隆GM補佐兼スカウト部長も「潜在能力は間違いなく高い。真っすぐを本気で投げたら、150km中盤まで行きますから。それはプロでもそんなにいない。基本的には(球速を)出せるはずです」と説明した。

 スカウトはマウンドでの姿だけで判断しない。日常生活にもまた、野球に対する姿勢が表れる。細野もまた個人的にジムに通うなど、自覚を持っている選手である。

 大渕はかつて花巻東の大谷翔平獲得に尽力した。これからプロに挑もうとする若者の「道しるべ」であり続けてきた。だからこそ、細野を見る目も冷静である。

「潜在能力を考えれば、プロに入ってからどのようにしていくかを考える選手ですね。まだ途上ですし、それを開花させる力があるか。考える力があるか。(情報を)統合する能力、取捨選択する能力があるか、なども見ないといけないですよね」

ジャイアンツ球場に残した爪痕

 細野はこの夏、ひそかに強烈なデモンストレーションに成功している。

 今年の8月10日。私は夏の甲子園の取材に行っていたのだが、ネット裏にいるはずのスカウトの数が普段よりもちょっと少ない。いったい、どこに消えたのか。聞けば、この日、ジャイアンツ球場で行われた巨人三軍と東洋大とのプロアマ交流試合に複数球団が足を運んでいたという。この試合に細野が先発して2回無失点だった。155kmを計測するなど150km台を連発し、3奪三振だった。夏の甲子園の熱戦でまったく目立たなかったが、細野にとって大きなアピールになった一戦である。

 先にプロで活躍するロッテ佐々木朗希やオリックス宮城大弥と同い年で、特に左腕である宮城に対抗心を抱いてきた。いよいよ、同じ舞台で戦う時がやってくる。

「(ドラフト会議が)近づくにつれて緊張感が増してきました。(試合でも)100%気にしないのは無理でした」

 10月26日。人生が変わる一日は間もなくやってくる。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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