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高校野球データ革命の“超進化”がスゴい! 慶応も仙台育英も来た“最新分析施設”キーマンいわく「目的なく練習するのではなく…」

posted2023/10/16 17:01

 
高校野球データ革命の“超進化”がスゴい! 慶応も仙台育英も来た“最新分析施設”キーマンいわく「目的なく練習するのではなく…」<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

夏の甲子園決勝で対決した慶応と仙台育英。データ革命は高校野球の世界でも進んでいるようだ

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間淳

間淳Jun Aida

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 鹿児島で開催された国体の高校野球は仙台育英と土浦日大の両校優勝で閉幕した。夏の頂点を争った慶応と仙台育英が1回戦で再戦するなど、今夏の甲子園で話題となった高校が激突する大会は好カードが並んだ。

 今夏は、「高校野球の常識を覆す」を合言葉に日本一を成し遂げた慶応のスタイルが注目された。ただ、慶応や国体に出場する強豪校だけに限らず、高校野球は大きく変化している。

 中でも、ここ3年、5年で劇的に変わっているのは個のスキルだろう。140キロを超える投手は珍しくなく、下位打線でも悠々と柵越えを放つ打者も多い。決して体は大きくなくても高いパフォーマンスを発揮する選手も目立つ。

極端な話をすれば1年で個人のレベルが上がっている

「30年、50年のスパンで見れば日本人の体は大きくなっています。そういう当たり前の感覚ではなく、もっと短いスパン、5年、3年、極端な話をすれば1年で個人のレベルが上がっていると感じます。データやスポーツ科学の浸透によって、選手個々に合った指導や練習を行うことができるようになった部分が大きいと思います。個別性は最近の高校野球において1つのキーワードになっています」

 こう話すのは、スポーツ科学を活用してデータを解析する「ネクストベース」で主任アナリストを務める森本崚太氏。近年の高校野球の変化を肌で感じている1人だ。

 ネクストベースは昨年8月、千葉県市川市に民間企業では日本で初めて、野球を中心としたスポーツのデータを計測して分析する施設「NEXT BASE ATHLETES LAB」を開設した。億を超える総工費をかけ、延べ床面積100坪のスペースには高性能な最新機器が並ぶ。

プロ野球でも経験を積んだ各分野の専門家が

 プロ野球選手も活用している施設だが、最近は高校生が増えているという。

 特に、これまで大半を占めていた個人での利用に加えて、チームからの依頼が多くなっている。野球はチームスポーツとは言え、投手と打者は1対1で対峙し、打球をさばくのは選手個人の守備力が問われる。つまり、チーム力を上げるには個のスキル向上が不可欠なのだ。

【次ページ】 慶応、仙台育英はそれぞれどんな分析をした?

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