緒方　むしろ、行って欲しいなと思っていました。東恩納（蒼＝沖縄尚学）も進学からプロ志望に切り替えたじゃないですか。あのとき、自分のところに電話がかかってきて。「お前に初めて言うんだけど」って。「マジで？　（その決断は）嬉しいわ」みたいな。東恩納には行って欲しいなと思っていたので。代表のとき、ずっと一緒にいたんですよ。4月の候補合宿のときに仲よくなって、そこから、ずっと連絡を取り合っていたので。

ドラフト会議の指名に注目が集まる東恩納蒼（中央） ©Kichi Matsumoto

――東恩納投手はマウンド上ではものすごく冷静な印象があるけど、普段は、すごいおしゃべりらしいですね。

緒方　やる時はやるんですけど、オフはもうほんとにオフになっちゃうので。

――代表メンバーのグループLINEとかもあるものなのですか。

緒方　あります。決勝の台湾の先発は孫（易磊）というピッチャーだったんですけど、彼は日本ハムと育成契約を結んだんですよ。それがネットニュースになっていたので、僕が送ったんです。そうしたら、東恩納が「先発のやつ？」って。前田は「そうなんや」みたいな。

自分の進路と「慶応の誤解」

――緒方君の進学先は國學院大学に決まっているそうですね。

緒方　大学では日本一になりたいですね。4年後、絶対プロに行きたいので、どんどんアピールしていきたいと思っています。

――最後に、この夏の甲子園で慶応が優勝したことで、「エンジョイベースボール」という言葉が独り歩きしてしまっている感があります。それによって生まれている誤解もあると思うのですが、緒方君から見た慶応野球はどのようなものでしたか。

©Hideki Sugiyama

緒方　確かに他のチームと比べると、ベンチの雰囲気とかは緩いな、というのはあるんです。でも、それが悪い方向にいっているわけではなくて。やるべきことはやっている。でないと楽しさも生まれてこないので。あと、丸田（湊斗）が決勝の台湾戦の前のミーティングで言ってたんですけど、慶応でやっていたのは、マイナスなこと、ネガティブなことは言わない、ということだと。それは、確かに慶応の雰囲気に当てはまるんですよね。プラス、プラスで考えていて、ネガティブな雰囲気にならない。そこがエンジョイベースボールにつながっているのかなと思いますね。

〈#1「あの悲劇のゲッツー」編、#2「U-18馬淵史郎の衝撃」編からつづく〉