コート後方中央に放たれたジャンプサーブに小川が飛びつき、セッターの関田誠大へパス。ほぼ定位置でセットできた関田のトスをレフトから高橋藍が放ち、日本が先制した。さらに西田のサービスエースと高橋藍のブロックが続き3対0。これまでとは明らかに違う第3セットのスタートに「ホッとしました」と高橋藍は笑みを浮かべた。

「石川（祐希）選手と小川選手の間にすごくいいサーブが来た。あそこでまたエースを取られてしまうと、自分たちが少し受け身に回ってしまう部分があったかもしれない。でもそこを、入ったばかりの小川選手が救ってくれて、いい流れがつくれました」

　もともとサーブレシーブに定評がある小川とはいえ、第3セットに苦しんできた日本にとって、あの1本は大きかったのではないか。今度は本人にそう尋ねると、間髪入れず笑顔で答えた。

今大会、初出場となったリベロ小川智大（手前）©︎Yuki Suenaga

「今シーズンの中で今が一番感覚も調子もいい。マジで早く（試合に）出たいなって思っていたんです。だから3セット目だから、とかいう感じは全くなくて、“やっと出られた、がんばろ”みたいな感じでした。左隣が祐希さん、オフェンスで活躍してほしいからカバーに行きたかったし『俺、絶対行くから』って。結果出してやろう、と思ってコートに入りました」

　数字に残るわけでも、ハイライトとして取り上げられるわけでもない。何気ない1本かもしれないが、とても大きな1本。それこそが、リベロの醍醐味だ。

米国代表ラッセル「対戦するのが本当に嫌」

　山本と小川、同じ“智大”という名で年齢は2歳違い。2人のリベロのディフェンス力はまぎれもなく世界のトップに値する。

　レシーブしたボールを最も多く触るセッターの関田もこう証言した。

「2人ともバレーがうまい。ボールがどこに来るかもわかりやすいし、（勢いを）殺してくれる。とにかくうまいので、安心してプレーができます」

「世界クラスのリベロが2人もいる」と評される山本智大（右）と小川智大　©︎Yuki Suenaga

　証言するのは日本代表の仲間たちだけじゃない。アメリカ代表で、昨季から日本のJTサンダーズ広島でプレーするアウトサイドヒッターのアーロン・ラッセルだ。

「彼らは本当に素晴らしい。ディグ、レセプション、いかなる時もいいディフェンスをするしエナジーもある。コート内のリーダーシップにも長けていて、サイズは小さいけれど、間違いなく世界で5本の指に入る2人。私にとっては日本のリーグでも、ナショナルチームでも、対戦するのが本当に嫌な選手たちです」

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