「得意でもないのに料理番組に呼ばれたり……」

――確かにメディア側からの“アスリート妻はこうあるべき”という価値観の押し付けもあるかと思います。ローラさん自身、そうした空気を感じたことはありますか？

ローラ　ラグビーがフィーバーした時期はそういう企画で呼ばれることが多かったですね。全然料理が得意なわけでもないのに、料理番組にオファーされることもあって（笑）。密着取材では、一歩引いて彼を支えるみたいな切り取られ方をすることもありました。それが嫌だなと感じたことはありませんが、こういう扱われ方しかされないんだろうなという自覚はありましたね。

　当時、W杯で彼が脳震盪を起こしたときに、観客席にいる私が心配そうに見守る様子がよく取り上げられていたんです。おそらくそのイメージもあって、“夫を見守る妻”という立場で呼ばれることが多かったのかもしれません。

互いをリスペクトし合い、素敵な関係性を築いているローラさん章仁さん夫婦　©本人提供

理想的なパートナーシップとは？

――ローラさん自身は章仁選手とどのような関係性が理想的だと思っていますか？

ローラ　どちらかが上でも下でもなく、ただ対等なパートナーでいたいですね。どちらが稼いでいるから偉いではなく、きちんと分担できるようなパートナーシップを組みたいですし、お互いのことを尊敬しあっているので、今は自然とそれができていると思っています。

　ラグビーの試合で誰かが怪我をしてしまったら周りが頑張るように、どちらかのメンタルが沈んでいるときは「大丈夫。自分が頑張るよ」と励まし合いたいし、お互いの気持ちを汲みながらちゃんとコミュニケーションを取っていきたいですね。

〈こう語るローラさんは2016年、双子の出産を機にハワイへと移住。つづく第3回では、日本を一時離れ、出産、子育てを行った当時の思いや、感じた“育休文化の違い”などについて語られる〉