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「あの時から後悔することばかりで…」花巻東・佐々木麟太郎が涙した日 “高校通算140本塁打”怪物スラッガーが目覚めるまでの503日 

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田口元義

田口元義Genki Taguchi

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posted2023/08/09 11:03

「あの時から後悔することばかりで…」花巻東・佐々木麟太郎が涙した日 “高校通算140本塁打”怪物スラッガーが目覚めるまでの503日<Number Web> photograph by JIJI PRESS

初戦の宇部鴻城戦、4回裏無死二塁から先制の適時打を放つ佐々木麟太郎。甲子園での初打点となった 

 前年の12月に、腕や手に痺れなどが出ると言われる胸郭出口症候群のため両肩を手術し、コンディションが万全ではなかったとはいえ、佐々木に言い訳はなかった。

「焦りとか多いなか出場まで持ってこられたと思っていますけど、それ以上に対応力のなさ、センスのなさを感じています。今度こそ、勝負強く決められるバッターになって甲子園に戻ってきたいです」

雌伏の時を経て目覚めた”怪物”。ファンが心待ちにするのは…

 3年の夏、有言実行を果たした。

 佐々木は再び甲子園の打席に立ち、チームの勝利にために自分が貫くスタイルで内角球をヒットし、打点を挙げた。

 教訓は、生かされている。しかし当人は控えめにこう答えるのだ。

「あの時から後悔することばかりで、とにかく練習に取り組んできました。(対応力という結果については)自分で評価することはできませんけど、勝つためにやることを全うしようと思って打席に立ちました。気持ちの面では、一度、甲子園を経験させてもらっているので、落ち着いて準備はできたと思います」

 初めての甲子園での悔恨を払拭した宇部鴻城戦。

 佐々木は「チームの勝利が一番」という、絶対不変の信条を打ち出した上で、次戦へ向け声のトーンを上げる。

「ここからが大事。勢いというか、流れに乗っていきたい」

 センター方向を意識したバッティングをして、チームの勝利に少しでも役立つこと。打席でやることは変わらない。

 その先にある待望。

 理想の方向へ打球が舞い上がり、スタンドまで到達する――。

 甲子園の観衆は、衝撃の目撃者になるはずである。

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