成田は語気を強めた。

「アイツと、ここで引き分けなんか、やってられねえんだよ。俺たちはな、20分、いや30分、いや60分、（時間）無制限……どんな形でも、俺は絶対、負けたくはない。引き分けたくもない。アイツに勝ちたいんだ。それだけだ」

面白すぎる男・辻陽太は「プロレス界の未来」か

　では、もう1人の「令和闘魂三銃士」辻はどうだろうか。

「正直言うと全然納得できないし、ピンとこないですよね。いつまで過去にしがみついているんだって話で、彼ら（元祖）に対してもリスペクトがない。みなさん全員新日本を退団されているのに、いまだに三銃士にこだわるのはどうなのかなって。そもそも、会社からわざわざ命名するものなんですか？」

　辻は辻なりの新日本プロレスの改革を理論的に訴えている。

「圧倒的に俺の方が新日本に貢献しているし、彼らと一緒にされたら伝わらなくなるし、邪魔しないでほしいですよね。余計なレッテルを貼らないでくれ」

辻陽太の奇襲トペが清宮海斗に炸裂

　そう語っていた辻は、7月15日の開幕戦でノアの清宮海斗と対戦。トペで奇襲したが、敗れた。だが、この男は面白い。いや、面白すぎる。前日の公開記者会見で、辻は独演会のように笑みを浮かべてマイクを握った。

「今日は、2つほど謝りたいことがあります。まず1つは、Aブロックの選手の皆さんに対して、品のないあだ名、言葉を投げたこと。パラダイムシフトを巻き起こすために彼が何をかじろうと、世代交代をするために何をしようと、オレには関係のないことで、俺が口出すことじゃなかった」

記者会見で不敵な笑みを浮かべる辻陽太

　辻は慇懃無礼な調子で続ける。

「そして2つ目は、『令和闘魂三銃士』。そう命名されて、会社批判を繰り返してしまったこと。あの時はちょうど、キヨピー（清宮）にかまってほしくて、ノアの会場に行ったんだけども、彼に全く相手をしてもらえず、その矛先を会社に向けてしまいました。真摯に対応していただいた木谷オーナー、そして大張（高己）社長、ありがとうございました。ノアに行ったときは、キヨピーに全く相手にしてもらえなかったんですけど、改めて考えると、キヨピーは悪くない。ただこの日本の夏の湿気で、マッチ棒（辻は清宮を“緑のマッチ棒”と揶揄していた）がシケシケになっていただけなんです。でもそのおかげで、あれだけ話題になった。ただ明日、札幌のリングで、残念なことにマッチ棒の代えはない。このオレが、シケシケのマッチ棒に火をつけられるよう、頑張りたいと思います」

辻陽太の容赦ない踏みつぶし

　どうやら辻は公言通り「シケシケのマッチ棒」に火をつけてしまったようだ。試合に敗れはしたものの、無視を決め込んでいた清宮に「日本のプロレス界の未来」とまで言わしめた。

　辻がやはり面白い。

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