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彼はなぜ自転車で川崎から神戸に…?「長津田でやめたくなりました(笑)」600kmを走り抜いた川崎Fサポの“ロードムービーのような旅路”

posted2023/07/15 11:00

 
彼はなぜ自転車で川崎から神戸に…?「長津田でやめたくなりました(笑)」600kmを走り抜いた川崎Fサポの“ロードムービーのような旅路”<Number Web> photograph by Number Web

川崎~神戸間の約600kmを自転車で走破した小野田治矢さん。彼は何を思って「チャリ神戸」に挑んだのか

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いしかわごう

いしかわごうGo Ishikawa

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2023年6月、ひとりの川崎フロンターレサポーターが、自転車で川崎~神戸間の約600kmを完走した。しかしゴール直前、台風2号の影響により、目当てにしていた神戸での試合は中止に。ロードムービーのような“感動の結末”が各所で話題を呼んだ「チャリ神戸」の当事者は、どんな思いでペダルを漕ぎ続けたのか。本人を直撃し、過酷な旅路の内幕を語ってもらった。(全2回の1回目/後編へ)

なぜ自転車で神戸に?「本当に単なるノリでした」

 いつか自分もやってみたい――。

 誰しもそんな「やってみたいことリスト」を持っているものだが、それが壮大なチャレンジの場合、実際にやってみせる人は稀である。此岸と彼岸。「やってみたい」と「やってみた」の間には、途方もないほど広く大きな川が流れているものだ。だが、彼は川を渡ってみることにした。

 小野田治矢。故・志村けんさんをこよなく愛し、番組制作会社に勤める34歳のテレビマンである。きっかけは、ガンバ大阪を応援するYouTube『イクパッパちゃんねる』だった。一昨年に配信された、等々力陸上競技場からパナソニックスタジアム吹田まで自転車で行く企画「チャリパナ」に、イチ視聴者として触発されたのだ。

「『等々力からパナスタに自転車で行くなんて!』ってワクワクしながら見ていました。めちゃくちゃ楽しそうだったので、いつか自分もやってみたいなって……」

 だから、最初は軽い気持ちだった。「本当に単なるノリでした」と笑う。

「3つ上の兄に、小さいころから『ノリは大事だぞ』と教わってきて(笑)。もともと今年やるつもりはなかったんです。ただ、奇跡的にスケジュールが空いて、急に1週間の休みが取れることになった。しかもイニエスタを生で見ることができる最後のチャンスかもしれないので『よし、行くか! 今しかないか!』とノリで決めちゃいましたね」

 ノリで実行したので、準備や計画も綿密に進めていたわけではなかった。

【次ページ】 完走はイメージできず「浜松まで行けたらOKだろう」

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