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「いやいや、ちょっと待てよ」「頭が真っ白に」巨人・内海哲也が味わった“人的補償で西武移籍”の衝撃…気落ちする左腕を救った“ある言葉”とは 

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内海哲也

内海哲也Tetsuya Utsumi

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posted2023/07/12 17:03

「いやいや、ちょっと待てよ」「頭が真っ白に」巨人・内海哲也が味わった“人的補償で西武移籍”の衝撃…気落ちする左腕を救った“ある言葉”とは<Number Web> photograph by JIJI PRESS

2018年12月21日、笑顔で西武の入団会見に臨む内海哲也。7月12日発売の著書『プライド』では“人的補償の衝撃”を赤裸々につづっている

 5月上旬にこのシーズンでは初めて一軍に呼ばれて、5月17日のDeNA戦では6回途中3失点、5月24日の広島戦では5回4失点と2試合続けて負け投手になりました。崖っぷちに追い込まれていたので、もう1回結果を残せなかったら、もうダメだろうなという覚悟で次の試合に臨みました。

 そうして迎えたのが、6月1日に京セラドーム大阪で行われた交流戦のオリックス・バファローズ戦です。初回に1点を先制してもらうと、6回まで93球を投げて被安打3、無失点。真っすぐは140km/hに届かなかったものの、自分のピッチングができてシーズン初勝利を飾り、ヒーローインタビューに呼ばれました。

「うれしいです。最後のチャンスという気持ちで、背水の陣でマウンドに上がりました。ヒーローインタビューはなかなかできないものだと思っていたけど、一生懸命やってきて良かったです。苦しんだ分、もっと頑張りたいです」

 このオリックス戦の勝利をきっかけに、2016年は18試合に登板して9勝6敗、防御率3.94。3年ぶりの二桁勝利にはあとひとつ届かなかったものの、もう1度一軍の舞台で勝利の歓喜を味わうことができました。

「頭が真っ白になった」人的補償の衝撃

 2017年は開幕ローテーションに入ってシーズン初登板のDeNA戦で勝利投手になったものの、好調は続きませんでした。12試合で2勝7敗、防御率5.77で14年目のシーズンを終えます。

 続く2018年は2年ぶりの開幕二軍スタート。一軍に登録された5月10日の阪神戦でシーズン初勝利を飾り、7月31日のDeNA戦では4年ぶりの完封勝利を挙げましたが、15試合で5勝5敗、防御率4.17という成績でした。

 まさかの知らせを告げられたのは、プロ入り15年目を終えたこのオフです。当時西武の炭谷銀仁朗がFA権を行使し、ジャイアンツに移籍してくることになりました。

 FAで選手を獲得するということは、迎え入れる球団から選手が“人的補償”として獲られる可能性が出てきます。

 仲のいい新聞記者に聞くと、こう言われました。

「ジャイアンツでこれだけ頑張った人たちは、過去の例を見るとプロテクトされているので内海さんは大丈夫ですよ」

【次ページ】 「本当にすまない」救われた先輩の言動

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