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「観客のヤジもつらかった」加藤豪将19歳がマイナーリーグで受けた“洗礼”…「このままではダメだ」挑んだ覚悟の肉体改造「食べ過ぎて吐き気が…」
posted2023/06/12 11:00
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph by
Getty Images
野球をやってお金をもらえているというより…
シーズン中とは別人のようにたくましさを増した肉体が、2015年のシーズンへ臨む加藤豪将の決意を表していた。
昨年10月に20歳になり、日本の慣習では今年、成人式を迎える年代。だが、21歳から飲酒が認められる米国で育った加藤に、「区切りの20歳」という感慨はない。その一方で、プロとして着実に階段を上がり、日々前進していることは少しずつ実感し始めていた。
「20歳と言われてもあまりピンと来ないですね。でも、去年の1年を振り返ると、少しは大人になれたかなとは思います。自分で野球をやっているのがうれしくて、野球をやってお金をもらえているというより、毎日フィールドに行って野球をやれているという楽しさの方が大きかったです」
人懐っこい笑顔、日本人ならではの礼儀正しさは、プロ入りした18歳当時と変わらない。それでも、ひと言ずつ丁寧に言葉を選び、真意を伝えようとする姿勢には、日頃から野球でプラスになることを第一に考え、実行に移してきた自信が見え隠れする。それはおそらく、強いプロ意識の表れと言い換えてもいい。
ルーキーリーグから1Aへとステップアップしたが……。
ハンク・ブレイロック(元レンジャーズ)、コール・ハメルズ(フィリーズ)らメジャーリーガーを輩出した名門ランチョ・バーナード高校で大活躍し、全米選抜にも名前を連ねた加藤は、2013年6月のドラフトで、ヤンキースから2巡目(全体66位)指名を受けて入団した。同年はルーキーリーグのショートシーズンでプレーし、プロ初戦で初本塁打を放つなど、鮮烈なデビューを飾った。最終的に打率3割1分、出塁率4割2厘の好成績を残したこともあり、昨シーズンは2ランク上の1Aチャールストンに「飛び級」で昇格。レギュラーの二塁手として121試合に出場し、順風満帆のスタートを切ったかに思えた。
だが、この1年で、加藤はプロの世界の厳しさを痛切に実感することになった。
「初めてのスプリングトレーニングに、初めてのフルシーズン。いろんなことを学んだと思います。一番大事なことは、どんな日でも、毎日同じメンタルでフィールドに行くこと。コンスタントにメンタルをキープできれば、次の日も結果が出るということがよく分かりました」