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「母親みたいな目線で見ちゃいました」1年前に“危機感”を訴えていた竹下佳江は、女子バレー眞鍋ジャパンの躍進をどう見た?

posted2022/10/21 17:00

 
「母親みたいな目線で見ちゃいました」1年前に“危機感”を訴えていた竹下佳江は、女子バレー眞鍋ジャパンの躍進をどう見た?<Number Web> photograph by JMPA

自身の現役時代を振り返りながら、眞鍋ジャパンの世界選手権での健闘を称えた竹下佳江。セッター陣への言及も興味深い

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田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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 画面越しの表情も声も、明らかに弾んでいた。

「視聴者の方々もバレーボール界も、正直ここまでやってくれると思っていなかったんじゃないかと思うんです。でも、すごかった。想定外のことが起きても、若い選手がこんなに力をつけているんだ、というところが見られました。ここから、勝負所の1本を取り切るために選手たちは頑張っていくんだろうな、と母親みたいな目線で見ちゃいましたね」

 1年前、東京五輪の戦いを見届けた竹下佳江は“危機感”を訴えていた。

 女子バレー日本代表は東京五輪で1次ラウンド敗退という結果に終わった。現実に直面しなければならない中、同じアリーナスポーツの女子バスケットボール日本代表が銀メダルを獲得する快挙を達成。国内は連日のようにメダルラッシュに沸き、どこか取り残されたような焦燥感があった。このままじゃバレーボールが終わってしまう。何とかしなければならない。竹下は何度もそう繰り返した。

強国ブラジル代表と大接戦

 あれから、わずか1年。女子バレー日本代表は5年ぶりに監督に就任した眞鍋政義のもと、世界選手権(9月23日~10月15日)を「5位」という成績で終えた。

 予選ラウンドでは強豪ブラジル相手に同大会としては40年ぶりとなる勝利を挙げ、その白星がフロックではないと証明するかのように、準々決勝の“再戦”でもスタートから完璧に近い内容で2セットを連取した。フルセットの末に敗れてベスト4入りを逃したが、勝利したブラジルはその後、準優勝を達成したことを考えれば、日本は世界と十分渡り合える――そんな期待や希望を感じさせた。

 世界選手権の様子は連日、地上波で試合が生中継されたこともあり、選手の活躍ぶりや結果は多くの人に届いた。そのたびに東京五輪での1次ラウンド敗退という結果が引き合いに出され、こう問われる。

 この躍進の背景は? そもそも、この1年で何が変わったのか?

 コロナ禍の真っただ中であった東京五輪、ましてや自国開催という得体の知れない過度なプレッシャーと戦った状況と同じ目線で比べることはできない。さらに竹下は現在、「監督付戦略アドバイザー」として代表チームに近い立場にいる。当時と今では自身の立ち位置も違うが、それを承知で躍進の要因をたずねると「難しい」と苦笑いを浮かべながらも、熟慮した。

【次ページ】 「取り組むべきことが具現化された」

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