乾　最後の最後って感じですかね。岡山はもともと練習だけという感じでしたが、最後の方はここでやるかも？と思ってましたから。それでも清水から声をかけてもらって、嬉しかったですね。J1でやりたい気持ちは強かったので。

「34歳で寮生活ですよ（笑）」

水沼　清水の最初の印象は？

乾　コロナもあったのですぐに全員と会えなかったですが、その時からチームの雰囲気はすごくよかったですよ。面白い選手も多くて、ほんまいいチームって感じ。最初からみんなぐいぐいきてくれたのですぐ馴染めました（笑）。

水沼　乾はすぐ受け入れちゃうからね（笑）。でも清水は昔ながらのサッカーの街。独特な文化もあると思うけど、もう生活は慣れた？

乾　最初はあんまりバレなかったんですけど、最近では街でも声をかけてもらうようになりました。やっと認識してもらえたんですかね。今は34歳で寮生活ですよ（笑）。

水沼　それは素晴らしい！　チームは今「J1残留」という目標があると思うけど、何を一番求められていると感じてる？

乾　まさに貴史さんがおしゃったようにまさに「残留」ですね。今年に関しては、どんなサッカーをしても勝ち点3を獲らなきゃいけない。もっと上を目指す、目指さなきゃいけないぐらいのいいチームだとは思いますけど、今はとにかくこのクラブを落とさないことを大前提です。　

J2降格圏内から脱出しているものの、上位勢との対戦を控えている清水エスパルス。乾のようなベテラン選手の働きかけも重要となる©Getty Images

水沼　ここから川崎、鹿島と上位チームとの対戦や延期になった静岡ダービーも控えている。

乾　全部勝ちたいですね。勝負事なので絶対はないですが、広島ともいい試合ができましたし、今のサッカーに自信をもってできれば通用しないとは思わないです。

水沼　勝ち点を拾うため細かいところにもこだわっていかないといけないよね。チームを牽引する立場でもあるから、期待しているよ。まだ34歳だもんね。これからあと何年できるかはわからないけど、ホアキンのようにまだまだ活躍してもらわないと（笑）。

乾　それはどうですかね、彼は異次元ですから（笑）。

水沼　でも純粋にサッカーを楽しむ気持ちを忘れなかったら大丈夫。いろんなチームに恩返ししないといけないよね。それだけのことを今年は経験したのだから。

乾　はい、貴史さんのおっしゃる通りです。しっかり恩返しできるように頑張ります。

「わぁ～」と魅了できる選手はとても貴重だからこそ

＜水沼後記＞

　先日の試合では、ロングボールをピタッと止めるトラップでスタンドを沸かすシーンがありました。しかも次のプレーにつながっていくような止め方をする。ボールを止めるだけで「わぁ～」と魅了できる選手はとても貴重です。

　最近は「控えめにしている」というドリブルも乾の魅力。本人は「シザースできないですから」と言っていますが、まさに特別な技をするわけではないんですよね。緩急だったり、ボールの止め方だったり、仕掛ける角度だったり。そういうプレーは子どもたちにとってもお手本になるので、たくさん目に焼き付けてほしい。

　サッカーを楽しむ乾の姿をこれからも見守っていきたいと思います。

＜#1からつづく＞

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