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ボンデージ姿でムチ乱打も…“フェリス卒”女子レスラー・雪妃真矢がフリーで始めた新たな闘いとは?「伸び伸びと、怒られてもいいので(笑)」

posted2022/05/18 11:00

 
ボンデージ姿でムチ乱打も…“フェリス卒”女子レスラー・雪妃真矢がフリーで始めた新たな闘いとは?「伸び伸びと、怒られてもいいので(笑)」<Number Web> photograph by Norihiro Hashimoto

Rebel&Enemy自主興行、普段とは違うボンデージ系コスチュームで植木嵩行を踏みつける雪妃

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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Norihiro Hashimoto

 人気女子プロレスラーの雪妃真矢は、昨年いっぱいで所属していたアイスリボンとの契約形態を変え、今年からフリーとして活動している。

 選手会長は辞任。アイスリボンの大会にも引き続き参戦しているが、所属選手主体の道場マッチには上がらなくなった。後楽園ホール大会など、大きめの大会が中心だ。その分、他の団体での試合が増えた。DDTにも定期参戦するようになった。

 フリーになるかどうか、1年くらい悩みに悩んだそうだ。これまでも他団体参戦はあったが、あくまでスケジュールはアイスリボン優先。その枠を取っ払って、今まで会ったことのない観客と会い、闘ったことのない相手と試合がしてみたかった。アメリカ、イギリスなど海外で試合をしたいという気持ちも前から持っていた。

「団体所属で、選手会長で、タイトル戦線にずっと絡んでという状態だと、たとえば“来月、海外で試合ができる”となってもすぐには動けなかったりするので」

大学卒業後は銀行員…プロレスは人生初の大冒険だった

 フェリス女学院大学出身、卒業後は銀行員。周りが期待する道を、そういうものだろうと進んできた。そこからプロレスラーに。人生で初めての大冒険だった。雪妃にとってプロレスキャリアとは冒険であって、その好奇心は一つの団体に収まるものではなかった。

 アイスリボンのシングル王座を獲得してからは、団体に“反逆”する立場で自己主張の少ない中堅選手たちを挑発してきた。それも団体を活性化するためだ。コロナ禍、ステイホーム期に無観客配信マッチが続き、チャンピオンの自分が率先して“アイスリボンの明るさ”を引っ張っていきたかったが、それを堪えて自分にしかできない役割に徹した。筆者から見ると責任感を第一に動きがちなタイプ。自分のやりたいことを優先するなら、やはりフリーという選択がベストだ。

 実際にフリーになってみると、楽しさと厳しさは表裏一体だった。自分しだいでどちらにもなると雪妃は感じた。

「どこに行っても“アウェイ”なのは感じます。対戦相手にしてもお客さんにしても、それぞれの場所でお会いする人が違うんですよね。やり慣れてない相手だから、体の負担も違います。“この相手とはこんな闘い方で”という幅が今まで以上に必要ですね。

 フリーだからグッズの制作、管理、通販も全部自分。会場の売店は、新しい女性のファンの方が来てくれる時もあるし、まったく売れない時もありますね。“あぁ、ここでは受け入れられてないんだ”、“アイスリボン以外ではこんなに人気ないのか”と打ちのめされる時もあります。

 これまで、私のファンはアイスリボンのお客さんで、その人たちは私が何をやっても肯定してくれる優しい人たちでした。でも今はそうじゃないので。ストレスもプレッシャーもあります。それを打ち破って頑張らなきゃいけない。そういう部分もフリーのやりがいですね」

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