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ボンデージ姿でムチ乱打も…“フェリス卒”女子レスラー・雪妃真矢がフリーで始めた新たな闘いとは?「伸び伸びと、怒られてもいいので(笑)」 

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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posted2022/05/18 11:00

ボンデージ姿でムチ乱打も…“フェリス卒”女子レスラー・雪妃真矢がフリーで始めた新たな闘いとは?「伸び伸びと、怒られてもいいので(笑)」<Number Web> photograph by Norihiro Hashimoto

Rebel&Enemy自主興行、普段とは違うボンデージ系コスチュームで植木嵩行を踏みつける雪妃

 フリーのレスラーは文字通り自由で、しかし自分の思い通りになることばかりでもない。それぞれのリングで役割があるし、各団体の“流れ”はあくまで所属が中心。また、たとえば「デビュー○周年記念大会(記念試合)」や引退試合も、団体所属なら団体の興行の枠でできるが、フリーはすべて自分で“場”を作る必要がある。負傷による長期欠場となった場合、復帰するリングが決まっているとも限らない。

 そこで雪妃は、仲間たちと「フリーランスのフリーランスによるフリーランスの為の大会」を開催することにした。5月20日、新宿FACEでのフリーランスサミット『NOMADS'』だ。実行委員会として運営に携わるメンバーは雪妃、夏すみれ(欠場中)、山下りな、高瀬みゆき。雪妃曰く、フリーの選手は「家を持たない」という点でつながっており、また「野心を秘めたライバル」でもある。競い合いながらも、苦労した経験は共通と言える。

 各団体の“物語”だけでなく、フリーが集まって描くストーリーがあってもいい。フリー同士が横のつながりを強め、可能性を広げていく。そんな大会にしたいという。出場するのは全員がフリー、もしくは“事実上のフリー”の女子選手。欠場していた小林香萌の復帰戦も行われる。

フリーが増えている女子プロレス界の現状

 実行委員会の山下によると、既存の団体ではフリー同士のシングルマッチ、フリーばかり集まるカードはめったにないそうだ。『NOMADS'』では新鮮なカードが組めるし、そのことで自分のプロレスが「覚醒」するんじゃないかとも言う。大会には水波綾、朱崇花、安納サオリ、優宇、松本浩代など各団体で活躍する豪華な顔ぶれが揃った。

 高瀬も雪妃同様、今年からアクトレスガールズを離れてフリーになった。アイスリボンから独立したハードコア&デスマッチ女子ユニット「プロミネンス」、アクトレスガールズの活動内容変更によって生まれた「COLOR'S」と、今年に入り女子プロレス界ではフリーが増えている現状がある。それぞれが独自の活動をしていきながら「フリーが集まる」という発想で新しいものを生み出そうというのが『NOMADS'』。ただフリーになるような選手たちだから個性も主張も強い。そのバランスを取るために、実行委員会は少人数。「船頭多くして~」を避けたわけだ。

 この大会も、すべては自分たちの手で作っていく。たとえばプレスリリースは、雪妃が担当している。「会社がやってくれる」ことが何もないのがフリーで、それだけやらなくてはいけないことが多い。そこに充実感があるというから、雪妃はやはりフリーに向いていたのだろう。

 かつて団体のために貢献しようとしてきた真面目さが、おそらく雪妃の根っこだ。その真面目さは、厳しいフリーの立場でも活かされている。フリーの雪妃真矢だからできる新しいことは、これからまだまだ出てくるのではないか。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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