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「センパイ、コウハイの意識が強い」育成や“優れたFWが少ない問題”… 日本サッカーとブラジルの課題を名DFシジクレイが斬る!

posted2021/12/10 17:26

 
「センパイ、コウハイの意識が強い」育成や“優れたFWが少ない問題”… 日本サッカーとブラジルの課題を名DFシジクレイが斬る!<Number Web> photograph by Tamon Matsuzono

現役時代のシジクレイ。インタビュー前後には愛妻との2ショットに応じてくれた

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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Tamon Matsuzono

ブラジルに戻った名選手に話を聞く本連載、今回はガンバ大阪を筆頭に山形、京都、大分、神戸などを渡り歩いた名DFシジクレイの今と日本サッカーへの印象を聞いた(全2回/前編も)

――2015年末、ガンバ大阪のコーチを退任してブラジルへ戻りました。

「2016年以降、FCカスカヴェウのトップチームのコーチ、U-19監督などを務めた。昨年からは、目指すフットボールの方向性が近いマルセロ・カラニョット監督の右腕となって、ツバロン(州1部)、ガマ(ブラジル4部)で働いた。来季は、また別のクラブでカラニョット監督を支えるつもりだ」

――指導者として、どんなフットボールを目指しているのですか?

「全員で守り、全員で攻めるエネルギッシュなスタイル。攻守の切り替えを速くして、見ている人をワクワクさせるようなフットボールを見せたい」

――プロチームの監督を務めることができるライセンスをすでに取得しているのですか?

「ブラジルサッカー連盟(CBF)が交付するライセンスBまでを取得している。プロチームの監督を務めるにはライセンスAが必要で、今年、履修を始めた。パンデミックのせいで予定より時間がかかっているが、来年中には取得できる見込みだ」

実はライセンス制度の準備が遅れたブラジル

 ブラジルでは、ライセンス制度の整備が遅れた。各州の指導者協会が交付する簡易ライセンスしか存在せず、過去、日本で監督を務めたジーコ、トニーニョ・セレーゾ、オズワルド・デ・オリヴェイラらはブラジル1部での指導歴を考慮して日本サッカー協会が監督就任を認めたにすぎなかった。

 ようやく2009年、ブラジルサッカー連盟がライセンス制度を整備。子供のためのサッカースクールで指導ができるC、プロクラブのアカデミーで指導ができるB、プロチームの指導ができるAを用意した。

 さらに2016年、Aの上に「プロ」を加えた。これは、欧州の最上級ライセンスである「UEFA(欧州サッカー連盟)プロ」との互換性を目指すもので、この「CBFプロ」を取得していてブラジル1部での5年以上の指導実績があれば、欧州プロクラブの監督を務めることができる。

 また、2019年から、国内プロクラブの監督を務めるにはライセンスAの取得が必須となっている。

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