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【J1残留争い】劇的勝利にキャプテン号泣、監督と愛弟子が歓喜の抱擁…湘南と清水はシビアすぎる「4チーム自動降格」を避けられるか

posted2021/11/10 17:03

 
【J1残留争い】劇的勝利にキャプテン号泣、監督と愛弟子が歓喜の抱擁…湘南と清水はシビアすぎる「4チーム自動降格」を避けられるか<Number Web> photograph by Masashi Hara

試合後に号泣する湘南DF石原広教(左)と、同点ゴールを決めて感情を爆発させる清水MF滝裕太(右)。残留争いという極限状況の重圧がよくわかる

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原壮史

原壮史Masashi Hara

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Masashi Hara

 4チームが自動降格、というフォーマットで思い出されるのはイタリアだ。

 セリエAでは、2000年代前半まで4チーム自動降格というレギュレーションを採用していた。これは16チームから18チームにリーグを拡大する際に、2チーム増えた分をそのまま降格枠に加えた、という状態だった。

 20チーム制となった現在の自動降格枠は3。イタリアではこれまで何度も「18チーム制にすべきだ」という論争が巻き起こっているが、そういった場合に提示される降格枠のフォーマットは現在と同じか、あるいは2+1というもの。自動降格4チームという時代を経験していたイタリアの人たちでさえ、チーム数を戻そうとは思っても降格枠を再現しようとは思わない。競争力が上がるというメリット以上に、経営が不安定になるクラブが増えるというデメリットを経験したからだ。

異例の「4チーム自動降格」となった経緯

 もちろん、今回のJリーグの状況は毎年繰り返されるものではない。

 今シーズンのJ1からJ2への自動降格が4チームとなることは、昨年11月に決定された。

 コロナ禍という特殊な状況でシーズンを進めることになった昨年、「ホームスタジアムの利用頻度や試合日程の過密状況、アウェイゲームやホームゲームの連戦格差など、競技上の不公正が生じた場合でも、降格リスクを回避することでサッカーを継続していく」(村井満チェアマン)という理由で降格なし・昇格ありという特例ルールを適用したJリーグは、増えたチーム数を元に戻す必要があった。

 しかし、4チームが自動降格というのは多くのチームの想定よりも厳しい展開だった。当然、3チーム+J1残留(昇格)プレーオフ1チーム、という意見も挙がったが、不透明な状況では異なるディビジョンを跨ぐカレンダーを作成することは避けるべき、という判断が下された。

 そんな2021シーズンは既に川崎フロンターレが優勝を決め、熾烈な残留争いに注目が集まっている。降格枠が4つあるにも関わらず、残り3節の時点で降格が確定したチームはない。現在の勝ち点は、最下位の横浜FCと19位のベガルタ仙台が27、18位の大分トリニータが28、降格圏で最上位の17位にいる徳島ヴォルティスが30、16位の清水エスパルスと15位の湘南ベルマーレがどちらも33だ。たった2つの「J1残留」という椅子を争う6チームの中から、かろうじて残留圏にとどまっている清水と湘南の2チームに注目したい。

揃って監督交代に踏み切った湘南と清水

 シーズン開幕時、湘南を率いていたのは浮嶋敏監督だった。

 2019年に苦しい状況の中でチームを引き継ぎ、昇格を目指す徳島とのプレーオフの末にJ1残留を果たした同監督は、「勝ち点50」を目指して戦っていた。

【次ページ】 堅守の湘南が得失点差で優位に立つ

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