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〈気になる採点は?〉藪恵壹は阪神ドラフトをどう見たか 「森木は球界を代表するエースになれる逸材」「今回一番驚いたのが…」 

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藪恵壹

藪恵壹Keiichi Yabu

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posted2021/10/12 11:06

〈気になる採点は?〉藪恵壹は阪神ドラフトをどう見たか 「森木は球界を代表するエースになれる逸材」「今回一番驚いたのが…」<Number Web> photograph by Kyodo News

阪神からドラフト1位指名を受けた森木大智。球界を代表するエースになれるか?

高校生スラッガーの4位獲得は「今回のドラフトで一番驚いた」

 そして私が今回のドラフトで一番驚いたのが、4位で前川選手を獲得できたこと。私と同じ三重県出身という情報はさておき(笑)、どうにか阪神が獲得してくれないかと思っていた選手でした。スラッガータイプで飛距離抜群。高校生であんなに鋭いスイングをもった選手は稀です。さらに高校入学まで投手をやっていたとあって、強肩の持ち主でもある。贔屓目なしに、将来の中軸を担う可能性のある選手だと思います。4位で獲得できたのは奇跡ですね。

 さらに、前川選手と同じ外野手として、豊田寛選手(日立製作所)を6位で指名しました。これは私の願望でもあるのですが、阪神首脳陣は来シーズン、佐藤輝明を外野ではなく、サードでの起用を考えている気がします。彼には任せられるだけの守備力がありますし、何よりサードを守ることがバッティングにも活きる。下半身を鍛えるためにも、瞬発系の動きが多いサードを守らせたほうがいいんです。理想は4番サードのスラッガー・岡本和真(巨人)。あの下半身を手に入れたいですね。

 佐藤をサードにするとなると、外野の層がさらに薄くなります。その点を考えての外野手2人の指名だったと見ています。「どちらの外野手が来年活躍するか」という点では、昨年の中野拓夢と同じ6位指名で社会人の豊田選手のほうに分がありますが、将来性の前川、即戦力の豊田とそれぞれ獲得できたことは大きい。

年代のバランスも◎。近年は「いいドラフトができている」

 ほかに7位で指名した高校生捕手・中川勇斗(京都国際)も注目です。ドラフト前、正捕手・梅野隆太郎のFA流出に備えて捕手を獲るべき、という声もありましたが、坂本誠志郎もいれば、今季ファームの18連勝に貢献した榮枝裕貴もいる。中川選手は焦らず、5、6年後を見据えて成長してほしいですね。

 ほかに、5位指名で獲得したサイドスロー右腕・岡留英貴(亜細亜大)と、育成で獲得した左腕・伊藤稜(中京大)を入れて計8人。内訳は、高校生3人、大学生4人、社会人1人と世代的なバランスのとれた指名ができたと思います。高校生中心の19年ドラフト、大学生・社会人中心だった20年ドラフト、そして高校生・大学生をバランスよく指名し、即戦力と将来性どちらも見据えた今年のドラフト――。

 近年、阪神は非常にいいドラフトができていると思うので、あと必要なのは……リーグ優勝しかないですね!

(構成/田中仰)

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