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ダルや大谷翔平らに投げ勝ち、西武→ロッテ→楽天で6勝3敗… 涌井秀章の“開幕投手での異常な強さ”を称えたい 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph bySankei Shimbun

posted2021/03/30 06:02

ダルや大谷翔平らに投げ勝ち、西武→ロッテ→楽天で6勝3敗… 涌井秀章の“開幕投手での異常な強さ”を称えたい<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

田中や早川らに注目が集まる楽天投手陣だが、昨季パ最多勝、涌井秀章も忘れてはいけない

涌井の防御率1.84は誰よりも安定感がある

 涌井は6勝だが、防御率1.84は大洋、平松政次の1.85を抜いて1位となった。涌井の通算勝利数は、10傑の投手では最も少ない145勝。開幕戦に特化して強い投手だと言ってよいだろう。

 2013年西武での最終年、涌井の成績は5勝7敗7セーブ、防御率3.90。大きな期待ができる成績ではないままロッテに移籍したが、入団2年目に15勝で最多勝を挙げた。そしてロッテ最終年の涌井は3勝7敗、防御率4.50と、これまた衰えを感じさせる成績だったが、楽天入団1年目の昨年、11勝でまたも最多勝。チームを移籍するたびに「再生」する。まさに不死鳥のようだ。

松坂やダルと比較され続け、田中将大が戻ってきたが

 涌井秀章は、何かと比較されることが多い投手だ。西武ライオンズでは6歳年長で同じ横浜高校出身の松坂大輔の「後継者」という見方が強かった。2006年限りで松坂がMLBに移籍すると、1年おいて2008年から西武の開幕投手を担うようになった。

 また、同じ1986年生まれで、2005年に揃ってドラフト1巡目でプロ入りしたダルビッシュ有とは互いを「ライバル」と意識する関係だった。

 涌井は何度も浮き沈みを繰り返しながら、「3球団で最多勝」「3球団で開幕勝利投手」など先輩やライバルもできなかった快記録を達成したのだ。

 今季の楽天は、MLBから復帰した田中将大、則本昂大、岸孝之、大学ナンバー1左腕の評判が高い早川隆久と、豪華なローテーション投手で話題になった。昨年の最多勝、涌井はやや影が薄かったが、開幕戦の快投で、一気に注目された。

 恐らくは心の底に「俺を忘れてもらっちゃ困る」という「強い反発心」があるのだろう。今季の涌井から目が離せない。

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