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松田直樹への思い、18歳息子との直接対決…松本山雅・田中隼磨38歳が語る覚悟「今、僕は試されている」 

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二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byHiroki Watanabe/Getty Images

posted2021/02/25 11:03

松田直樹への思い、18歳息子との直接対決…松本山雅・田中隼磨38歳が語る覚悟「今、僕は試されている」<Number Web> photograph by Hiroki Watanabe/Getty Images

昨年はキャプテンを務めたものの怪我に泣いた田中。今季に並々ならぬ覚悟で臨む

右ひざを痛めて離脱を余儀なくされた

 8年間指揮を執った反町康治監督が勇退。布啓一郎監督が就任したものの、移行期の難しさにも直面して勝利になかなか結びつかない。キャプテンの田中はそれでもチームを前に向かせようとしたが、3連敗で臨んだ8月8日アウェーのジュビロ磐田戦で右ひざを痛めて離脱を余儀なくされた。

「“こんなときに何してんだよ、俺は”って情けなくなりましたよ。これから立て直していこうっていうときだったので。ケガ人が続いていた状況で自分もそうなってしまって、気持ちがなかなか整理つかなかった」

 悔やんでも仕方がない。自分がやれることは何か。ピッチ外から見て何か気づくことがあればチームメイトとコミュニケーションを取り、そして何よりも1日も早くひざを治すことに心を砕いた。

 右ひざのケガは初めてでもない。サードオピニオン、フォースオピニオンまで求めて保存療法で行くことを決め、クラブも尊重してくれたという。

9月下旬に布監督は解任された

「過去に僕と似たようなケガをしたJリーガーを担当したトレーナーの方にも意見を聞きました。どんな治療で、どんなリハビリで、その後どうなったかまで。聞くだけじゃなくて自分でも調べましたよ。保存療法で行くと決めてからも痛くて“やっぱり手術したほうが良かったかな”と思った時期もありましたけど、自分の回復力に賭けようって」

 PRP療法がうまくいき、ひざの周囲の筋肉を鍛える補強トレーニングも様々な方法を試した。順調に回復し、復帰のメドも立った。

 一方チームは低空飛行が続き、9月下旬に布監督は解任。代わりに柴田峡編成部長が指揮を執ることになった。田中は11月に復帰して、途中出場でチームを盛り立てた。持ち直して13位で終えたものの、ファン、サポーターの期待を大きく裏切る結果に終わってしまった。

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