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【CL・Rマドリー戦は?】 “奇跡の地方クラブ” アタランタの岐路 反逆事件を起こした主将をスパッと切って…

posted2021/01/19 06:00

 
【CL・Rマドリー戦は?】 “奇跡の地方クラブ” アタランタの岐路 反逆事件を起こした主将をスパッと切って…<Number Web> photograph by Getty Images

いざこざが起きたガスペリーニ監督率いるアタランタだが、ゴメスを戦力外としたことで再び結束なるか

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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 “プロビンチャーレの星”アタランタが割れた。

 2年連続でCL決勝トーナメント進出を決めた奇跡の地方クラブは今、大きな岐路に立っている。

「ノー! ノーと言ったらノーだ!」

 発端は、昨年12月1日に遡る。ベテラン主将アレハンドロ・ゴメスが、監督ジャンピエロ・ガスペリーニへ造反したのだ。

 CLグループリーグ第5節で、FCミッティランを本拠地ベルガモに迎えたアタランタは、先制され前半から押し込まれた。指揮官ガスペリーニは打開策として攻撃の要ゴメスに「右サイドへポジションを移せ」とくり返し命じたが、主将は従うどころかあからさまに拒否。明白な反抗の意思を含む怒鳴り声が無観客のスタジアム中に響いた。

 憤怒した指揮官は、前半限りでゴメスをベンチに下げ、お灸を据えただけでなく、1週間後のセリエA第10節ウディネーゼ戦で招集外とし(※雪で順延) 、続く第11節フィオレンティーナ戦でも90分間ベンチに置き留めた。

ユーべ戦前に相手の応援歌を口ずさむ始末

 明らかな懲罰処分だったが、指揮官は決してゴメスを毛嫌いしたのではない。むしろ第9節までの全試合先発や過去4シーズンの平均出場数が43試合超 と傑出していることからわかるように、実はゴメスほどガスペリーニから信頼され、重用された選手はいないのだ。

 しかし、フィオレンティーナ戦の翌日にあたる12月14日、ゴメスは「俺がクラブを出ていくとき、(対立の)真相を明らかにする」とSNSに投稿。“この1月移籍市場で俺は出ていく”という決別のメッセージを内外に示した後、16日の大一番ユベントス戦では“対戦相手のクラブソングを陽気に口ずさむ”という暴挙に出た。

 今季2度目のスタメン落ちにぐれたのか、ゴメスは試合前恒例の演奏に合わせて敵地アリアンツ・スタジアムに響くユーベ礼賛のフレーズを皮肉めいた笑顔で諳んじていた。

 今から全力を尽くして倒しにいく相手の応援歌を笑いながら歌う主将なんて、冗談でも許されない。生中継を見ていた地元ベルガモのファンは言葉を失った。

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