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福岡&松島のようなスポーツカー? 女子セブンズ期待の慶應大3年・原わか花の鮮烈トライと浴びた洗礼 

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大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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photograph byNobuhiko Otomo

posted2020/12/04 06:00

福岡&松島のようなスポーツカー? 女子セブンズ期待の慶應大3年・原わか花の鮮烈トライと浴びた洗礼<Number Web> photograph by Nobuhiko Otomo

チャレンジマッチへ向けて集中力を高める原わか花。サクラセブンズ期待の快速WTBだ

「子どものころから新幹線が大好き」

 雪辱のチャンスはすぐに訪れた。後半3分。左オープン攻撃でボールを持ったCTB小出深冬の背後をサポートしながら鋭いステップで方向転換。クロスに走り込んでパスを受け、マークしていた堤の逆を突いて相手ディフェンスの裏に出ると、そのまま一気にトライラインまで走り抜けたのだ。

 走るとき、原が脳裏に浮かべるのは「新幹線」だ。

「子どものころから新幹線が大好きなんです。一番好きなのはドクターイエロー。人を助ける新幹線だから」

 とはいえ、この鋭角的なステップは新幹線にはちょっと不可能だ。軽量スポーツカーだからこそ可能な急ハンドルと急加速が生み出した、鮮烈なトライ。それも第2試合の後半という、体力的に厳しい時間帯に取ったという意味でも大きなトライだった。誰にとっても半年以上ぶりの実戦。ほとんどの選手がばてばてになっていた時間帯。だが、原は自分のフィットネスに絶対の自信を持っていた。

「自粛期間に、自分で自転車を買って、毎日自転車でトレーニングしていました。うちの近くは坂道が多いので、1kmくらいの坂を上って降りてを繰り返して、基礎体力と体幹を強化しました。私の武器はスプリントなので、それを前後半の14分間、絶やさずに繰り返せるようにやってきました」

 この日行われたのは2試合、7分ハーフの14分プラスロスタイムの合計30分強、一度も退くことなく、フルタイムでピッチをかけ続けた女子で唯一の選手が原だった。

「目標にするだけじゃなく超えていきたい」

 試合後のミックスゾーンで、原は、堤との対決を振り返った。

「本当に尊敬する先輩ですから、目標にしてきましたし、目標にするだけじゃなく超えていきたい。いつか勝ちたいと思ってきました」

 原は身長156cm、体重56kg。堤は身長154cm、体重56kg。ともに「小型・軽量」のトライゲッターだ。だが共通点はそれだけではない。

【次ページ】 原と堤の共通点とは?

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