――それを試合で見ましょう。

オシム　まさに神のみぞ知るだ。神が本当にいるのかどうか誰にも分からないが。ときにいないのではないかと思うこともある。いるにしては、あまりに酷いことが起こるからだ。戦争にしろコロナにしろほったらかしだ。

　試合が終わった。1対0でホームのスロボダの勝利だ。ホームはやはり強かった。

　サリュ、モンビュウ。メルシー。日本のすべての素晴らしい選手たちによろしく伝えてくれ。どれだけいい選手が日本にいるのかわからないが。

――今はそれなりに多いです。

オシム　たぶんたくさんいるのだろう。選手が多いのはわかるが、それが優れた選手であるかどうかはまた別の問題だ（笑）。君たちがそこをしっかり批判すべきだ。誰に対しても分け隔てなく。メディアは強い存在であるのだから。

――日本も今はレベルが上がりました。Jリーグも進歩しています。

オシム　私は弱い存在だった。1人で来日し、誰も私を批判する機会を持たなかった。独りだったが、私に対して誰も何も言わなかった。だからこそこうして電話で話すのはすでに悪くない。しかし君も今はオーストリアまで来ることができない。日本にも問題があるのだろう。

――とてもたくさん話すことができました。ありがとうございました。

【前編　引退発表当日…オシムが語った“サッカー選手・中村憲剛”「できることなら撤回してほしい」（https://number.bunshun.jp/articles/-/845802）を読む】