月刊スポーツ新聞時評BACK NUMBER

正代、初優勝の“アイスクリーム話”から“巨人のウッディ”まで スポーツ新聞の「ゴキゲンさ」がいい 

text by

プチ鹿島

プチ鹿島Petit Kashima

PROFILE

photograph byKYODO

posted2020/09/30 08:00

正代、初優勝の“アイスクリーム話”から“巨人のウッディ”まで スポーツ新聞の「ゴキゲンさ」がいい<Number Web> photograph by KYODO

秋場所千秋楽で初優勝を果たした正代。新十両会見で「なるべくみんなと当たりたくない」と漏らしたネガティブな性格や、祖母の正代正代(しょうだい・まさよ)さんも話題に。

 このあとも、

「救世主と呼ばれたネオと同じく、岡本も主役級の活躍でチームを幾度も救ってきた」

「仮想世界ではない。現実世界で本塁打、打点でリーグの打撃2冠に君臨する」

 映画とのコラボを勝手に続けていた。文末には「栗田尚樹」という署名がある。

 実は私、栗田記者の記事には注目していた。

 あれは7月末だったか、『巨人トイ・ストーリー打線爆発』というちょっとよくわからない見出しに遭遇したのである(7月24日)。

《巨人のバズ・ライトイヤーも、この回に暴れた。》

 読んでみると、

《ミスター・ポテトヘッドことウィーラーが、打席にやって来た。隣にはミセス・ポテトヘッドの姿はない。最愛の夫人に早く会いたいと言わんばかりに初球から振った。》

 かなり強引な展開である。さらに、

《巨人のバズ・ライトイヤーも、この回に暴れた。》

 岡本のことである。この2カ月後にマトリックスになるのだが。

 締めはこの人。

《「あんたは俺の相棒だぜ! 」。そんな風に岡本を見つめ、坂本は二塁から生還した。映画の主役がウッディならば、チームの「顔」坂本も黙っていなかった。》

 坂本勇人がいつの間にかウッディになっていた。

 翌月の8月2日にも栗田記者は「トイ・ストーリー打線11点爆発」と書いていたがそのネーミングが流行る兆しはなかった。

 しかし今回の「マトリックス岡本」である。またしても唐突な映画との合体記事!

 こうなるともう、次の無理やりな映画見出しが秘かな楽しみになっている。

 ゴキゲンなスポーツ新聞は私の栄養分でもあります。今日も元気をありがとう。

 以上、今月のスポーツ新聞時評でした。

関連記事

BACK 1 2 3
正代
読売ジャイアンツ
坂本勇人
岡本和真

相撲の前後の記事

ページトップ