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堂安律「違いを生み出せる選手に僕はなりたい」志高きビーレフェルトの起爆剤となれ 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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posted2020/09/26 11:40

堂安律「違いを生み出せる選手に僕はなりたい」志高きビーレフェルトの起爆剤となれ<Number Web> photograph by Getty Images

フランクフルト相手に1-1のドローで1部開幕戦を乗り切ったビーレフェルト。堂安律は異色のチームでどんな結果を残せるか

敵将も称える中で必要な「勇敢さ」

 何より忘れてはならないのは、相手のスタイルだ。

 前線からのプレスの強度をはかる指標の1つに、PPDA(Passes allowed Per Defensive Action)というものがある。

 選手たちがスライドし、前線から相手を捕まえるようにプレッシャーをかけるフランクフルトのPPDAは、昨季はリーグ3位、開幕節では全チーム最高を記録している。

 それほど激しくプレスをかけてくる相手とのアウェーゲームで、自分たちの目指すものを崩さずに戦い、1-1という引き分けからスタートした。これは上々の滑り出しだ。

 敵将のアディ・ヒュッターも試合後に「ビーレフェルトが勝ち点を取るのにふさわしくない、なんてことは一切ない。彼らはよくやっていた」と認めたほどだった。

 とはいえ今後も「勇敢さ」を貫くには、結果が必要だ。「勇敢さ」と「無謀さ」の間で揺れるシーソーも、チームが降格の危機に瀕したら、それ自体が無意味となる。

 そこで面白い存在になりそうなのが、PSVから1年間の期限付き移籍でやってきた堂安律なのである。

(なおキッカー誌はこの移籍がクラブによる「買い取りオプション」がついていると報じているが、ビーレフェルトは開幕前に移籍金を払って獲得した選手は1人もいない。彼らがこのオプションを行使して、少なくとも7億円前後になると見られる移籍金を捻出するのは簡単ではない)

「違いを埋める選手がいるかといえば」

 彼は開幕直前に遠藤航とともに参加した『スカパー!』のメディア取材会で、チームのサッカーと自分の役割の関係について、こう語った。自信をにじませながら。

「チームの戦術もだいぶわかってきて、かなりボールをつなごうとする意識は感じています。だけど、最後の、ペナルティーエリア付近で何か、違いを生める選手がいるかといえば、あまりいなくて……。パスをつなぎながら、最後のアタックのところで、違いを生みだせる選手に僕はなりたいと思っています」

 このサッカーを続けていくために必要なのは、一にも二にも、自信をなくさないことだ。

 鶏が先か卵が先か、という言葉にあるように、素晴らしい結果を手にする手段として今のサッカーに取り組んでいるのだが、理想のサッカーを実現するためにはどんな形であれ、結果を積み重ねて自信をつかむ必要がある。

 そして、その結果を残すのが、チームの中で最も市場価値の高い、助っ人としてやってきた堂安の責任でもある。

【次ページ】 インサイドハーフとしてこなした仕事

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ビーレフェルト

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