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山小屋支援でベンチャーが存在感。
ヤマップ代表が語る登山の希望と不安。 

text by

千葉弓子

千葉弓子Yumiko Chiba

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photograph byYAMAP

posted2020/08/05 11:30

山小屋支援でベンチャーが存在感。ヤマップ代表が語る登山の希望と不安。<Number Web> photograph by YAMAP

登山者用のアプリを提供するヤマップの代表・春山慶彦さん。元編集者で2013年に起業した。

自分の存在を問い直すことこそが冒険。

 現在、春山さんが注目しているチャレンジャーは2人いるという。探検家の角幡唯介さんと、サバイバル登山を提唱する服部文祥さんだ。

「このお2人は、現代に生きる真の意味での冒険家であり、探検家だと思います。お2人とも自然を舞台に、自分の体で文明や常識を問い直すような行為をし、それを表現にまで高めていらっしゃる。地理上の空白地帯がほぼなくなってしまった今、自分たちの存在を問い直す旅や表現行為こそ、現代にふさわしい冒険だと私は思います。

 宇宙に行くことも素晴らしいかもしれませんが、自分たちがいる地球もひとつの宇宙ととらえ、自分たちが住んでいる場所を掘り下げ、住みやすいままに後世に引き継ぐことも、立派な冒険ではないでしょうか」

 それまで当たり前だった概念を疑い、別な視点から自分たちが立つ場所を掘り下げるという現代の冒険のかたちがそこにはある。

 山岳信仰や自然信仰を根底に、独自の発展を遂げてきた日本の登山文化。自然環境と人との関係性が大きく見直されつつある中で、これからどのように変化し、かつ維持していったらいいのか。守るべき手法と更新されるべき流儀との見極めが必要な時なのかもしれない。

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角幡唯介
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