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CL処分撤回でマンCの逆襲が始まる。
大型補強に“後継10番”覚醒の予感。

posted2020/07/19 11:50

 
CL処分撤回でマンCの逆襲が始まる。大型補強に“後継10番”覚醒の予感。<Number Web> photograph by Getty Images

グアルディオラ監督が目をかけるフォデン。留任となればさらにその潜在能力が研ぎ澄まされるはずだ。

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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 BBCのニュースキャスターは「大きな勝利」と伝え、『タイムズ』紙では「大きな痛手」と報じられた。マンチェスター・シティに対する処分の撤回である。

 見方によって意見は分かれるが、今年2月にUEFAから宣告された厳罰を不服としたシティの控訴成功は、英国政府が店内でのマスク着用を義務付けるなど、まだまだコロナ禍中のイングランドでも大きな話題となった。

 7月13日にスポーツ仲裁裁判所(CAS)で下された判決により、今季プレミアリーグで2位が確定しているシティは来季も大手を振ってCLに参戦できることになった。フィナンシャル・フェア・プレー(FFP)規則に違反したとして、UEFAが下した同連盟が主催する大会への2年間の出場禁止処分は、控訴により1年間への短縮が見込まれていた。

 しかし、6月上旬に3日間にわたって行われた審問の結果は、処分自体の取り消しだった。

 UEFAによる調査への協力を拒んだことによる罰金制裁は残っている。だが、その金額も当初の3000万ユーロの3分の1に減額。900万ポンド弱(12億円強)という金額は、控えGKクラウディオ・ブラボと怪我がちな左SBバンジャマン・メンディの推定年俸を合わせた程度でしかない。

 自信満々で無罪を主張し続けたクラブは、法廷で狙い通りに「完勝」を収めたのだ。

「FFPよ、安らかに」と指摘され。

 一方、敗れたUEFA側は、虚偽の申告があったとみなした会計情報の大半が、違反行為に関して規則の効力が及ぶ「5年以内」より古い会計年度に属している――それを承知で厳罰を与えた判断が「浅はか」だったとメディアで言われている。

 同時に、CASでの敗訴が初めてではないことから、オーナーの資金力が直接的に戦力に反映されるうえ、採算度外視で赤字経営が増える傾向に歯止めをかける手段としてUEFAが10年前に導入した規則は、ソーシャルメディアにおいて「RIP FFP(FFPよ、安らかに)」と叩かれるなど、その無力が指摘される結果となった。 対照的に、シティ陣営はエネルギーに満ち溢れている。その変化こそが、CASの勝訴がもたらした最大のインパクトだ。

【次ページ】 CLを戦えなければ大物からそっぽ。

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