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児玉駿斗、“早すぎる内定”から2年。
理想はヤットさんのように「楽しむ」。 

text by

安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

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photograph byTakahito Ando

posted2020/05/12 11:30

児玉駿斗、“早すぎる内定”から2年。理想はヤットさんのように「楽しむ」。<Number Web> photograph by Takahito Ando

東海学園大学4年の児玉駿斗。2018年3月、名古屋グランパスへの加入が発表された。

どんな相手だろうが「楽しむ」

 彼には揺るぎない信念がある。それはどんな時もサッカーを楽しむことだ。

「一瞬でも楽しいと思えれば、そこからの時間は楽しめるので、その瞬間がいつ来るのかを窺いならプレーするのも実は楽しいというか、ワクワクするというか。だからこそ、僕は毎試合楽しみで仕方がないんです。それを味わえるのは本当に試合があってこそなんで。だからどんなサッカーでも苦ではないと思います」

 90分間において、どう自分が楽しむ時間を作るか。

 レベルが上がれば上がるほど、楽しむことは難しくなり、試合によっては数分程度しか「楽しい」を感じる局面がないかもしれない。だが、その局面が来ることを信じて走ったり、その局面を作るための工夫をし続け、日々のトレーニングを積み重ねる。それこそが彼のサッカー選手としてのモチベーションであった。

サインをもらうのはいつもヤットさん。

「昔からですね、僕はずっとガンバ大阪の遠藤保仁選手が大好きで、今も憧れの選手。試合中にどんな相手でも、どんな舞台でも変わらず落ち着いて、相手の意表をつくパスを出したり、教科書のような正確なプレーをするなどミスが少なくてめちゃくちゃ上手い。それに脱力系というか、試合をリラックスして楽しんでいるように見えるんです。だから観ているこっちもワクワクする。僕はヤットさんのような選手になりたいんです」

 大阪府吹田市で生まれ育った児玉は、小さい頃からG大阪ファンの両親に連れられて自転車で行ける距離にある万博記念競技場や練習場に通っていた。「練習見学中もヤットさんばかり観ていて、ファンサービスを受ける際も母はいろんな選手にサインをもらうのですが、僕はもうヤットさんオンリー。他の選手に抱っこされる時も『ヤットさんがいい』と思っていたくらいでした」と、その魅力にハマっていった。

 小学校の途中で摂津市に引っ越してからも、本田圭佑の出身チームである摂津FCでプレーし、中学時代はLEO FCでプレー。プレースタイルはドリブルよりも多彩なパスを駆使して周りを動かしていく司令塔タイプで、遠藤のように相手の逆を巧みについていく技術はピカイチだった。

【次ページ】 ドリブラーが揃う中で磨いたパス。

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