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競馬を変えたノーザンファーム天栄。
休み明けをプラスにする最強の外厩。 

text by

島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2019/05/22 11:30

競馬を変えたノーザンファーム天栄。休み明けをプラスにする最強の外厩。<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

ノーザンファーム天栄自慢の坂路。多くの人や馬がひしめくトレセンより、ストレスが少ないことは明らかだろう。

立地も環境もとにかく最高。

 東北新幹線の新白河駅から車を30分ほど北東に走らせた山あいの地にノーザンファーム天栄はある。敷地から東北新幹線が見える。ということは、新幹線の車内からも、ほんの少しの間だが、ここが見えるのだ。

 ここにいる馬のほとんどが、茨城の美浦トレセンの厩舎に所属する関東馬だ。美浦トレセンからは自家用車だと2時間半ほど、馬運車だと3時間半から4時間ほど。北海道からも、輸送熱が出づらい時間内に着くという。

 正門からスロープを上ったところに事務所があり、敷地全体が見わたせる。一周1200mの周回コースと、全長900mの坂路コースのほか、角馬場(かくばば)が2面ある。さらに、屋根付きのウォーキングマシーンやトレッドミルなどもあり、厩舎は15棟。トレセンの厩舎と違って、厩舎を縦に貫く通路を挟んで馬房が並んでいるので、互いに顔が見え、馬が寂しがらない。馬房数は286。

 ノーザンファーム天栄は、「外厩」や「育成場」と呼ばれるトレーニング施設だ。

 取材した日が好天に恵まれたこともあるが、敷地に立ってまず感じたのは、「気持ちいい」ということだ。

 敷地全体が盆地のようになっており、坂路の向こうには遠く那須連峰が望める。

 人間が気持ちよく感じるのだから、馬もきっと同じように感じているのだろう。

1レースの負荷が昔とは全く違う。

 ブラストワンピースを管理する大竹正博調教師が、同馬で昨年の有馬記念を制したあと、こう話した。

「今の競馬は、一走の負担度が、昔より断然高くなっています。だから、レース後は時間をかけて疲れを取り除いてから、次のレースに向けた負荷をかけなければならない。疲れを取る期間と、負荷をかける期間とが重なってしまうと、GIの舞台では厳しくなるという印象があります」

 そうなると、レース間隔を空けることが必要になってくるし、同時に、中間の調整を行う外厩の重要性が高まってくるのだ。

【次ページ】 調教師や騎手と同じくらい外厩が大事。

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